主婦大家が教える“借金ナシ”でもできる「ローコスト不動産投資」

2012年より不動産投資をスタートして、戸建て13戸(内、1戸売却)、その他、区分マンション3戸(内、2戸売却)、団地3戸(内、1戸売却)、アパート1棟4戸を所有するパート主婦大家なっちーこと、舛添菜穂子さん。少額で購入できる築古物件を購入して、DIYも取り入れてローコストでリフォームする投資術は融資が使いにくい今、初心者投資家から人気を集めています。前回、前々回にひき続き、これから不動産投資をしたい人に向けて、失敗を回避するためのアドバイスを聞きました。


インプットとアウトプットのバランスが大事

――初心者が失敗しがちなことは何ですか?

失敗ではないのですが、はじめられない一番の理由に「諦めてしまう」というのがあります。「買えない理由」を見つけて、諦めてしまう方が多いです。内見に行ったことない人が「知識がないのに、内見してもよくわからないから」「忙しいから」と後回しにしていれば、物件は売れてしまいます。せっかく不動産投資をやろうと思って勉強したのに、そこで終わってしまうのはもったいないです。まず一歩を踏み出す、とにかく動くことが大事です。

――まずは行動ですね

はい。もちろん勉強も大切ですが、やはり行動しなければはじまりません。あと、初心者にありがちな失敗は、「パーフェクトな物件を求めてしまうこと」。好立地で安くて、建て替えもできて広くて高利回り――といったような物件です。もし、そんな物件があったとしても、それは現金をたくさん持っている人がさっと買っていくものです。これからはじめようという人にはほとんどまわってきません。先輩の大家さんが言っていたのですが、「勉強だと思っても多少利回りが高くなくても、現実的な目線で買う」のがいいと思います。

――買えない時期が続くとモチベーションを維持するのは意外と大変です

そこも諦めてしまう理由になっています。私は大家さん仲間を作ることを提案します。過去にDIYを1人でやっていたけれど、すごく孤独で作業効率も悪く途中でくじけそうになりました。おしゃべりしながらのほうが楽しいし、悩みがあっても仲間に話すだけで心が癒されます。その場で解決できなくても、心に余裕があれば自分で乗り越えていくことができます。

――仲間の存在が大きいのですね。

とくに不動産やお金の話は、同級生やママ友、主婦友には話せません。だから、実際に不動産投資をやっている人と仲間になりましょう。また、やってない人にアドバイスをもらうのではなくて、その道で成功している先輩大家さん話を聞くのが良いでしょう。

――仲間の見つけ方は?

今は大家さんの会がたくさんあります。SNSで発信している人とつながってみるのもいいかもしれません。私自身、大家さんの会に参加するのは緊張しました。当時は今に比べて女性大家さんはもっと少なかったので。だから「1人だけでいいから、友達になって帰ろう」という目標にしました。大勢と名刺交換をするとなると大変だし、顔も覚えられませんが「隣の人とだけ仲良くなれたらいい」と思えば気が楽です。

不動産投資は元手を全て失う可能性は少ない

――なっちーさんは関西と関東両方で投資されていますが、どこで物件を買うのがよいと思いますか?

私は地縁がある大阪と自分が住んでいる東京や千葉で物件を買っていますが、「〇〇でないとダメ」という考えはありません。「都会は良くて地方はダメだ」という人もいますが、地方でも探せば賃貸需要はあります。そういうところを見つけて狙ったほうがライバルは少ないです。私にとって千葉の船橋や鎌ケ谷がそうです。人によっては住み慣れたところでないエリアで投資することもあります。

――安い築古物件といっても数百万円はします。物件を買うときは悩む人も多いと思います。

ヒアリングして計算したり、リフォームの見積もりをしたりと、検討を重ねて購入の決意に至りますが、結局のところ、「なんとかなる」という気持ちの持ちようだと思います。順調に買えることは少なくて、思ってもみないトラブルも起きるものです。築年数の経った物件はやはり不具合がありますし、リフォームしても別なところが壊れることもあります。心配しだすとキリがなくなるのです。たとえ新築物件であっても心配はあります。私は過去にFXで失敗して50万円を0円にしていますが、不動産は最悪でも0にはなりません。できるだけ楽しいことを考えて買うのが良いでしょう。

――なるほど。

あと最近多いのは、見に行ったのも一番先で買付証明を出したのも一番なのに、いざ買うとなると怖くなってしまい、決心がつかなくてもじもじしている間に、現金満額の投資家に取られてしまうパターンです。私自身にも同じような経験がありますが、人に買われてしまうとすごく悔しいです。そういうことがあると人は成長します。とはいえ、焦ってもいけません。人は人、それぞれ自分のタイミングもあります。また不動産投資には正攻法、いわゆる正論だけじゃなくて、いろんなやり方があります。一方から見るだけでなく斜めから見てみる――そこに成功する秘訣があるのではないでしょうか。私の団地投資もそうですが、古くて老朽化した団地を買ったとき「団地なんて……」と言われましたが、だからこそ安く買えて高利回りが出せています。

――ほかに、初心者がしてしまいがちな購入してからの失敗には何がありますか?

「リフォームにお金がかかりすぎてしまう」「空室が埋められない」ですね。とくにリフォームにこだわりすぎて、お金がかかりすぎてしまうケースが見受けられます。リフォームはキリがなくて、お金さえかければ何でもできてしまいます。安全で清潔であり基本的な住宅設備を整えたうえでの話ですが、やっても家賃が上がらないリフォームはしないことが前提です。あとは、不動産投資は「投資ではなく、事業」と考えましょう。お金を払って買って終わりではなく、物件を貸し出して利益を得るところまでができて大家さんです。空室が埋まらないのは苦しいですが、ニーズにあった物件を適正家賃で貸し出せば埋まります。そんなときこそ、先ほどお話した仲間の存在が心強いです。

――最後にメッセージをお願いします。

不動産投資はいろいろな方法があります。「融資が怖い」という方でも、私のようにコツコツ貯めたお金で無借金でスタートすることも可能です。FXなどと比べたら、小さくはじめてもコツコツ続けていけば、結果となって返ってくる可能性も高い投資法だと私は思っています。今回のお話が、賃貸業をはじめたい人の失敗を回避する知識になれば幸いです。

(※本記事は不動産投資を推奨するものではありません。投資は自らの判断で行ってください。)

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