春が来る♪

 「私ですか、普通にしてますよ、ふふ。受け応えの練習? 必要ないでしょ、ふふ。電話機? あ、磨いた方がいいですかねえ、ふふふ」-校長先生、下らない質問ばかりですみませんでした。昨日夕方の電話取材▲外野のこちらは指折り数えてそわそわと迎えるこの日だが、当事者はいたって平静…のようだ。春の選抜高校野球は出場校を決定する選考委員会がきょう開かれ、県立大崎高(西海市)の初出場が決まる▲センバツ出場を確実にした秋の九州大会の戦いは鮮烈だった。先制を許しても慌てず、競り合いでも一歩も譲らず。堅い守り、思い切りのいい打撃、粘り強さ-多彩な強みを誇る堂々の「九州王者」▲チームは1学年上の代から県内の公式戦で負けていない。もし新型コロナウイルスの流行がなければ、いつものように昨夏の甲子園が開かれていれば…そんな思いも背負って臨む▲同校の生徒数は113人。「島の小さな学校」がすっかり枕詞(ことば)として定着している。地域の期待も熱い。もちろん野球は9人と9人で戦うもの、学校の規模などグラウンドでは無関係だ。臆せず全力のプレーを-と気の早いエールを▲出場校の発表は午後3時半から。校長室の電話が鳴るのは4時か、4時半か。昨夜から冷え込みの戻った県内、ひと足早い春が来る。(智)


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