「たくさん感動届けたい」大崎“歓喜の春” 初の甲子園出場へ

 第93回選抜高校野球大会(3月19日から13日間・甲子園)の出場32校を決める選考委員会が29日、初めてオンラインで開催され、昨秋の九州大会を制した大崎が順当に九州代表(4枠)として選出された。大崎は春夏通じて初の甲子園出場。選抜大会を4度制している中京大中京(愛知)、2度の春夏連覇を誇る大阪桐蔭なども選ばれた。
 昨秋の明治神宮大会が中止になったことに伴い、神宮大会枠の代わりに戦力以外の要素を加味する21世紀枠が1枠増加。八戸西(青森)、三島南(静岡)、東播磨(兵庫)、具志川商(沖縄)の4校が選出された。いずれも春夏通じて初出場。
 公立校の柴田(宮城)のほか、京都国際、聖カタリナ学園(愛媛)も春夏通じて初出場となった。春初出場は専大松戸(千葉)と上田西(長野)。宮崎商は52年ぶり。組み合わせ抽選会は2月23日に実施予定で、各校の主将がリモートで参加する。
 昨年は新型コロナウイルス感染拡大を受けて、選抜大会、夏の全国選手権大会ともに中止となった。日本高野連は今回の選抜大会は感染症対策を講じ、観客数を制限して開催する準備を進めている。

選手たちに胴上げされる大崎の清水監督=西海市、大島若人の森野球場

 島の小さな高校に待ち望んでいた夢の切符が届いた。昨秋の九州王者として順当に選出され、春夏通じて初の甲子園出場を決めた大崎。九州4枠の春の便りは確実だったとはいえ、いざ「出場決定」の時を迎えた選手や関係者の間には、安堵(あんど)、笑顔、涙の輪が広がった。
 3年前の清水央彦監督就任以降、大崎は急成長してきた。現3年生も2019年秋の県大会を58年ぶりに制して九州大会に出場。21世紀枠を含めて選抜出場への期待が高まったが、残念ながら候補に選ばれなかった。その後も県内無敗を続けて夏の代替大会も優勝したが、コロナ禍の中、甲子園は遠い場所だった。そんな昨季の悔しさを忘れず、今回は文句なしで出場権をつかみ取った。
 吉報が届いた後、清水監督は懸命に涙をこらえた。チームの礎を一緒に築いてきた現3年生との思い出、感謝…。「チーム全体、関わってくれたみなさんと勝ち取った成果」と言葉をかみしめた。3年生の坂口航大前主将は、ちょうどこの日が清水監督や後輩たちと寝食をともにした合宿所の退所日。「最高のプレゼントで自分のことのようにうれしい」と笑った。
 追い求めてきた夢は、現実になった。そして、その夢には続きがある。目指すゴールはここではない。選手たちは「甲子園で勝って、もっとたくさんの感動を地域に届けよう」という思いを共有している。
 チームは今、冬季練習を続けながら、エース坂本安司を中心にした堅守、勝負強い打撃に磨きを掛けている。秋山章一郎主将は「支えてくれた3年生や地域の方を甲子園に連れて行けることが一番うれしい。出るからには優勝。一つ一つに集中していく」と力強く前を見据えた。


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