ソフトボール、空手…24年パリ五輪除外団体の複雑心境

東京五輪・空手女子形日本代表の清水希容

新型コロナウイルス感染拡大の影響で今夏の東京五輪開催が不透明になっている中、2024年パリ五輪で除外される競技団体が頭を悩ませている。

もちろん、どの競技団体も五輪開催可否の行方に神経をとがらせているが、パリ五輪で除外されるソフトボール界や空手界は、より状況は深刻だ。ソフトボール日本代表の宇津木麗華監督(57)は、かねて本紙に「パリ五輪はないとしても、その次(28年)は米国(ロサンゼルス五輪)なので、おそらくソフトボールと野球は選んでくれるんじゃないかなと思っている。その分しっかり準備して金を取って、また次につなげていきたい」と力説していた。

指揮官はエース・上野由岐子投手(38=ビックカメラ高崎)を軸に金メダルを獲得し、競技の魅力を全世界へ発信する青写真を描いているが、コロナ禍で五輪開催を危ぶむ流れに傾きつつある。そのため、協会関係者は「五輪の発信力ってW杯と比べものにならない。できればやってほしい」と話す一方で「その前に命に関わる問題もある。安心・安全を担保できて初めて伝わるものなのかなと思う。決して無理やり行うものではない」と複雑な思いを口にした。

今回が五輪初採用となった空手界にとっても、悩ましい問題だ。念願の晴れ舞台だからこそ、協会幹部は「我々がコントロールできない話なので、開催を信じてできることをやっていく」と声を大にするが、“幻の五輪種目”として歴史に名を残してはシャレにならない。別の協会関係者からも「五輪は最大のアピールの場。多くの人に見てもらうことで今後につなげたい」との声が相次いでいたが、中止になれば大きなマイナスだ。

コロナ禍という状況はあるとはいえ、両団体は東京五輪での活躍で五輪種目復活の機運向上につなげることができるか。

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