海外組が大不振!22年W杯へ森保ジャパンの厳しい現状

不振の大迫(左)と南野(共にロイター)

海外組の大不振が森保ジャパンを悩ませている。2022年カタールW杯出場を目指す日本代表は3月から再開予定のアジア2次予選に照準を合わせる中、今季欧州クラブでプレーする主力メンバーが苦戦。エースと呼ばれるFW大迫勇也(30=ブレーメン)を筆頭にMF南野拓実(26=リバプール)、MF中島翔哉(26=アルアイン)、さらに“日本の至宝”MF久保建英(19=ヘタフェ)ら、不安視される代表イレブンの現状に迫った。

森保ジャパンは発足当初から、レベルの高い欧州各国リーグで日々戦う「海外組」を中心に編成。主力は欧州クラブ所属の選手で占められているが、その中で攻撃陣は厳しい戦いが続く。

最も不安視されているのは大迫だ。森保ジャパンの発足時からチームを支えてきたストライカーは、2019年アジアカップ(UAE)での準優勝に大きく貢献。1トップとして攻撃の起点となり「大迫がいないと別のチームになる」と言われたほど絶大な存在感を示し「新エース」と呼ばれた。

だが、今季は大スランプ。前半戦(17試合)を終えた段階で12試合出場(うち先発は6試合)、無得点と結果を出せていない。地元メディアからも批判が噴出し、放出の可能性も報じられた。フロリアン・コーフェルト監督(38)が「ユウヤに批判が集まっている。いつも全てを押し付けるのはアンフェアだ」とかばったが、日本代表の「エース」が本来のパフォーマンスを発揮できていないのはチームにとって大きな痛手だ。

その大迫の代役として期待されたドイツ1部EフランクフルトのMF鎌田大地(24)はコンスタントに出場機会を得て実績を積み重ねている一方で「ストライカーみたいに点を取れるタイプではないと思う。想像がつかない」と代表での1トップ起用に難色。ベルギー1部ベールスホットのFW鈴木武蔵(26)は、昨年8月の移籍直後に7試合で5得点をマークし、注目されたが、その後は停滞している。

スペイン1部ウエスカのFW岡崎慎司(34)も昨季は2部で12得点を決めたものの、今季は期待された活躍ができていない。スペイン1部エイバル入りしたFW武藤嘉紀(28)もドイツ時代のようなプレーは見せられておらず、FW陣は壊滅的な状態と言える。

一方で、攻撃的MF陣も厳しい状況だ。

当初、日本の10番を背負ったMF中島は華麗なドリブルを武器に攻撃陣をけん引してきた。ただ、昨年春以降、新型コロナウイルスの影響とプライベートな事情からポルトガル1部ポルトで出番を失うと、昨年8月の新シーズン開幕以降もスタメンに定着できなかった。

日本代表でも選外が続き、今年1月には“都落ち”。UAE1部アルアインに期限付き移籍した。今後のプレー機会は増えるとみられるが、欧州各国リーグに比べれば「レベルが落ちるのは明らか」(J1クラブ関係者)。厳しい環境の中で日々、切磋琢磨することで選手は成長し続けられるだけに難しい状況に立たされている。

中島に代わって日本の10番を託された南野もイングランドで真価が問われている。今季前半戦(19試合)でリーグ9試合出場(うち先発は2試合)にとどまり、1得点と振るわない。地元メディアによると、元イングランド代表FWイアン・ライト氏(57)から「大きなインパクトを与えていない。質を上げられる選手ではない」と酷評されたという。

さらにスペイン1部レアル・マドリードと契約した久保も覚醒しきれていない。レンタルで加入した同1部ビリャレアルでは18歳のMFジェレミー・ピノに押し出されて出番を失ったように、実力に疑問符が付き始めている。また、森保監督から「体力的にもつけてほしい」との課題も解消できないまま。移籍した同1部ヘタフェでは、期待されるゴールという結果が出せておらず、伸び悩みが懸念される。

そうした現状に、J1クラブ関係者は「代表は海外組を中心に編成するので、森保監督も(欧州組の不振を)気にしているのではないか。チームの核になるところだし、特に攻撃陣のところで試合に絡めていない選手は呼びづらい。コンディションが整っていない選手を呼んでも計算できないだろうし、そこの判断は難しいのかも」と、指揮官の胸中をおもんぱかった。

森保監督は新型コロナウイルスの影響もあって苦しむ海外組について「現状を聞いたり、耐えながら頑張ってほしいと伝えた。まずは選手がクラブでプレーできることが大切。個々の価値を上げてくれれば自然と戦力アップにつながる。できることを地道に続け、積み上げながら前進していきたい」と語っている。

コロナ禍の影響もあって、先行きは不透明ながら3月にはカタールW杯アジア2次予選、秋には最終予選がスタートする予定。本来ならば日本代表の主力となる海外組がチームをけん引していくところだが、現状では厳しそうだ。

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