レッドブル・レーシング、2021年仕様を披露。ホールデン・コモドア、豪州SC最後の1年へ

 2月末に開幕を控えるRSCレプコ・スーパーカー・チャンピオンシップ(旧VASC)で、ホールデン陣営のファクトリーチームとして戦ってきたTriple Eight Race Engineering(トリプルエイト・レースエンジニアリング)が、2021年仕様のホールデン・コモドアZBをラウンチ。レッドブルのサポートは継続しつつ、新たに石油企業アンポルの支援拡大を得てRed Bull Ampol Racing(レッドブル・アンポル・レーシング)としてエントリーする。

 また、同じホールデン陣営のWalkinshaw Andretti United(ウォーキンショー・アンドレッティ・ユナイテッド/WAU)や、フォード陣営のKelly Grove Racing(ケリー・グローブ・レーシング)など、続々と2021年仕様カラーリングが公開されている。

 今季2021年から新たなシリーズパートナーを迎え、RSCとしてスタートを切るオーストラリア最高峰のツーリングカー選手権は、ニッサンがファクトリー活動から撤退した翌年の2019年以降、ホールデンとフォードの一騎討ちという伝統的スタイルでの勝負が続いてきた。

 しかしGM(ゼネラル・モータース)の決断により、2020年を最後にオーストラリアの魂とも言えた『ホールデン』が、ブランドごと自動車市場から撤退する状況となり、これら陣営のトップチームは今季プライベーター的な立ち位置でフォードの“ファクトリー”マスタングに挑む構図となる。

 その2021年もシリーズ7冠の“セブンタイムス・チャンピオン”ことジェイミー・ウインカップの88号車と、2016年王者の“SVG”ことシェーン-ヴァン・ギスバーゲンの97号車を継続するトリプルエイトだが、もともと“Caltex(カルテックス)”のブランド名で2005年からチームを支援してきたアンポルがメインパートナーに昇格し、引き続きレッドブルカラーを採用するマシンの両サイドに同社名を掲げることとなった。

「アンポルがチームへのコミットメントを深め、2021年以降のシーズンで共同命名権パートナーになったのは素晴らしいことだ」と語るのは、チームのエースを務め、今季も耐久カップ登録のパートナーに伝説の男クレイグ・ラウンズを迎えるウインカップ。

新たに石油企業Ampol(アンポル)の支援を得てRed Bull Ampol Racingとして参戦する
ホールデン陣営のWalkinshaw Andretti United(ウォーキンショー・アンドレッティ・ユナイテッド/WAU)も、チャズ・モスタートがドライブする25号車コモドアZBを公開
「今季は本当に準備ができているし、開幕戦のラウンド1を待ち望んでいる」とチャズ・モスタート

■他チームも続々と2021年の参戦体制を発表

「彼らはオーストラリアを代表する象徴的な燃料と小売の企業であり、僕らチームの価値観に沿ったブランドとして認知されている。彼らがアンポルのブランドを活性化するにあたり、パートナーとして提携できることを誇りに思うよ」と続けたウインカップ。

「それに、マシンのルックスも例年に増して素晴らしいものに仕上がった。タイトル奪還に向け大人しくしているつもりはないし、このクルマは僕らのスタイルにピッタリだと思っているよ」

 一方、かつてはHRT(ホールデン・レーシング・チーム)の呼称でシリーズを戦い、近年は北米トップチームなどの資本参加を得て生まれ変わったWAUも、エースのチャズ・モスタートがドライブする25号車コモドアZBを公開した。

 2020年を前にフォード陣営のTickford Racing(ティックフォード・レーシング)から電撃移籍を果たした28歳のモスタートは、久々のホールデンで5度の表彰台を獲得し、ランキング5位に喰い込んだ。

 難しい環境のシーズンを経て、2021年も引き続きチームメイトを務めるブライス・フルウッドとともに、Mobil 1 Appliances Online Racing(モービル1・アプライアンス・オンライン・レーシング)のカラーリングを継続する。

 そして投資コングロマリットの支援を得てチーム体制を刷新したKelly Grove Racingは、新加入のデビッド・レイノルズに続き、残留組であるアンドレ・ハイムガートナーの7号車フォード・マスタングを披露。こちらも昨年同様、NED Whisky Racing(NEDウイスキー・レーシング)としてシリーズに参戦する。

「今季はグローブが参加したことでチームに大きな変化があり、間違いなく別のステージに進むことになるだろう。そしてレイノルズと彼のエンジニアのアリスター(・マクビーン)が、クルマのセットアップに関して何か新しいアイデアを僕らにもたらしてくれるはずだ」と、新たなチームメイトに期待を寄せるハイムガートナー。

 そのほか、ティックフォード・レーシングで昨季はSupercheap Auto(スーパーチープ・オート)のカラーリングで戦ったジャック・ルブロークは、リー・ホールズワースのチーム離脱に伴いTruck Assist(トラック・アシスト)カラーのマスタングを引き継ぐことも発表されている。

フォード陣営のKelly Grove Racing(ケリー・グローブ・レーシング)は、アンドレ・ハイムガートナーの7号車を披露
昨季はSupercheap Auto(スーパーチープ・オート)のカラーリングで戦ったジャック・ルブロークは、Truck Assist(トラック・アシスト)カラーのマスタングを引き継ぐ
開幕戦は2月末のマウントパノラマ。13〜14日のシドニーで開催予定だった合同テストは、移動制限への対応で12日にクイーンズランド、16日からのウイントンに分割されている

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