楽天石井監督はあえて「壁に当たってほしい」 ドラ1早川の初ブルペンに“注文”

ブルペンで話し込む楽天・下妻貴寛(左)と早川隆久【写真:宮脇広久】

「考え過ぎずに少しアバウトな感じでいってほしい」

最速155キロを誇る楽天のドラフト1位ルーキー、早川隆久投手が2日、沖縄・金武町でのキャンプ2日目に初めてブルペン入り。捕手を座らせストレートのみ37球を投じた。セットポジションから時折クイックモーションを交えるなど、実戦派ぶりを伺わせた。

実戦を意識したブルペンにドラ1左腕は「ランナーが出れば、クイックで投げることが大半になると思う。クイックの割合を多くしていかないといけないと思います」と説明。昨季1軍戦43試合に出場した下妻を相手に、コースを予告しながら投げ込み、「今日は体の開きを抑えるように、ボディコントロールを意識しました。ある程度はできたので、ここから球の出力(球威)を上げていければ」とうなずいた。

その早川のピッチングを見守り、終了後には2人で話し込む一幕もあった石井一久GM兼監督。その後のオンライン会見では、あえて「(早川には)壁に当たってほしい」とハッとさせるような言葉を使った。

新人にして理論派の早川に、指揮官は「凄くよく考えていると思う。ただ、こちらとしては、あまり考え過ぎずに少しアバウトな感じでいってほしいという思いもある」と吐露。「備えあれば憂いなしと、あらかじめいろいろ考えるより、壁に当たりながら解決していってほしい。そっちの方が、選手として大きくなると思う」と真意を説明した。

「オープン戦で結果を出してくれれば、僕たちはそのスポットを用意できる」

小山伸一郎投手コーチも「率直に凄い。軸が全くぶれないし、ばらつきがなくまとまっていた」と評価した上で、「セットポジション(のタイミング)やクイックなど、いろいろ考えているが、まずはそこじゃなくて、打者に対してシンプルに強いボールを投げてほしい。そこから課題も出てくると思う」と語った。

まずはストロングポイントの速球とスライダーに極限まで磨きをかけることが重要で、細かい技術は失敗しながら覚えていけばいいというわけだ。もちろん、石井監督は「彼が気にしている部分、こうした方がいいのかなと迷っている部分のうち、そこはそんなに気にしなくていいよという部分に関しては、しっかり“隙間”を作ってあげたいと思う」とケアしていく姿勢も強調する。

開幕先発ローテ入りについても、「オープン戦で結果を出してくれれば、僕たちはそのスポットを用意できる」と断言。田中将、涌井、岸、則本昂と豪華な顔ぶれが並ぶ先発ローテにあっても、新人の早川を有力候補として計算に入れているのだ。

早川は「第2クール(6~9日)中盤には、100球以上投げられるようにしたい」と言う。ファンにとっても、大物ルーキーが1年目から1勝でも多く勝てるに越したことはないが、よりスケールの大きい姿を見られる方が重要だ。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

© 株式会社Creative2