【新型コロナ】緊急宣言延長、我慢の限界超えた 飲食・観光事業者らの生きる道は

臨時休業する飲食店が目立つ東急田園都市線溝の口駅近くの商店街=2日午後4時半ごろ、川崎市高津区

 さらに続く我慢の1カ月─。新型コロナウイルス緊急事態宣言の延長が決まった2日、神奈川県内各地で落胆と不安が広がった。飲食店や観光事業者は深刻さを増す収入減に悲痛の声を上げる。「一刻も早い収束を」。先の見えないコロナ禍の打撃は増すばかりで、政府への注文も相次いだ。

◆要請応じてきたけれど

 「限界はとっくに超えている。でも、生き残る道を探していかないと」

 伊勢原市の中華料理店の男性店長(42)は、収束の兆しが見えないコロナ禍に店の存続を危ぶむ。1月の売り上げは昨年同月に比べ半減した。200席を備える店の売り上げの3割を占める大人数の宴会の予約が入らない状況が続き、「まさかここまで影響が出るとは思わなかった」と頭を抱える。

 昨春から「収束のためなら何でも協力する」姿勢で、すべての営業時間短縮要請に応じてきた。ただ、国会で審議が進む新型コロナ特措法の改正には「規制するなら補償が必要」と感じており、一律ではなく売り上げや納税額に応じた協力金の交付を求める。

 今は「待っていてもお客さんは来ない。自分たちから売り込もう」と、市外のスーパーマーケットでの総菜販売を検討している。

 一方、東急田園都市線溝の口駅(川崎市高津区)近くの居酒屋の男性責任者(51)はあきらめ顔だ。「国を挙げて感染防止に取り組んでおり、仕方がない」

 緊急事態宣言の再発令を受け、悩んだ末に「時短営業では売り上げも見込めない」と1月12日からの休業を決めた。店の切り盛りは5人のシフト制で、家賃などの負担も重い。1日当たり6万円の協力金では足りず、「1人でやっている店なら十分だろうけど…」とため息を漏らす。

 周囲の飲食店も休業が相次ぎ、飲み屋街がにぎわい始める夕方もシャッターの下りた店が目立つ。男性の店は宣言延長後も休業を続ける方針で、行政には「せめて協力金は十分支給してほしい」と訴える。

◆隙間のない支援求め

 「現在の客室稼働率は20%前後。どうしたら良いものか…。先が全く見えない」。横浜・みなとみらい21(MM21)地区のホテル関係者は業界を取り巻く環境の厳しさを痛感している。

 1月7日の緊急事態宣言の再発令を受け、一部のレストランは休業中。通常営業が再開できる日は見通せない。「私たちの業界は人の動きがなければ始まらない。今はただ、一日も早い収束を祈るばかり」

 横浜高島屋(横浜市西区)は営業時間短縮の影響もあり、1月の店頭での売り上げは前年同月比3割減。来店客はコロナ前と比べ4割ほど減っているという。

 海外ブランドなど高額商品の売れ行きは良い半面、外出機会の減少によりセレモニー用の商品や靴などは苦戦が続く。青木和宏店長は、宣言延長による消費マインドの落ち込みを懸念しつつ、「今が踏ん張りどころ」と力を込める。

 横浜を代表する観光地・横浜中華街(同市中区)。飲食店のほか、雑貨や占いなどさまざまな業種が軒を連ねる。

 横浜中華街発展会協同組合の高橋伸昌理事長は、打撃を受けているのは飲食店だけではないとした上で、国や自治体に対し「不公平、分断を生まないような隙間のない支援」を求めた。

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