大野忍氏がWEリーグ・大宮のコーチに就任 佐々木則夫総監督から託された〝レジェンドたちの説得〟

現役時代から信頼関係は変わらない佐々木則夫監督(右)と大野氏(中)

【なでしこリーグ歴代最多182点 大野忍 ひとりごと】まず、皆さんにご報告させていただくことがあります。すでに報道でもご存じかと思いますが、私は今秋開幕の女子プロサッカーリーグ「WEリーグ」に新規参入する大宮でコーチをさせていただくことになりました。それに伴い、今まで務めさせていただいたINAC東京での指導も1月31日で終了し、2月1日からは大宮のコーチとして活動しています。今度は日本のトップリーグに在籍する一員の視点で、様々な「ひとりごと」をつぶやいていけたらいいと思っています。

なでしこジャパンで私も指導を受け、今回大宮の総監督になった佐々木則夫さんからコーチ就任のオファーをもらったことで、このご縁ができました。あ~、あまりこんな呼び方したことないんで、今まで通り「ノリさん」でいきますね。正直、私はWEリーグにかかわるのはまだ先かと思っていたのですが、ノリさんから直接電話をいただき、すぐに返事をさせていただきました。以前の監督と選手という関係ではなく、今度は総監督とコーチという立場になりますが、ノリさんとまた一緒に戦えるのは本当にうれしいし、楽しみです。

とはいえ、大宮は新しいチームなので、選手を集めるところからのスタート。チーム編成はノリさんを中心に上層部がやっていましたが、その過程でINAC神戸のDF鮫島彩選手、日テレ・ベレーザのMF阪口夢穂選手、DF有吉佐織選手に声をかけていることを聞きました。これも大宮でコーチをやりたいと思った理由の一つです。

そんな中、私は阪口選手、有吉選手と久しぶりにご飯を食べる機会ができました(阪口選手は「夢穂」、有吉選手は昔から呼んでいる「キング」でいきます)。まだ緊急事態宣言も出ていない昨年12月のこと。2人はまだ皇后杯を戦っている最中でしたが、私が大宮のコーチに就任が決まったこともあって、自然と今後の話になっていきました。

先に断っておきますが、この食事会でも、その前後も、私は2人に「大宮に来なよ」とは一度も言っていません。食事会の前にノリさんから「頼むな」と説得役を任されていましたが、最終的に決断するのは選手自身です。後日聞いた話ですが、夢穂は別のチームからも誘われていたそうです。

私は2人には「自分が納得できるところでプレーしたほうがいい」とだけ言いました。夢穂はこの時、まだ結論は出しませんでしたが、キングはすっかり“その気”。もはや大宮のユニホームを着ているようでした。あ、もちろん本当にユニホームを着ちゃうといろいろ問題があるので、あくまで「そう見えた」ということで…。結局、夢穂も大宮を選んでくれたので、結果的に私はノリさんから受けた“密命”を成し遂げた形になりました(笑い)。

他にも有望な選手が大宮入りを決めてくれましたが、こればかりはやってみないとわかりません。でも私も負けず嫌いなので、やるからには勝ちたいし、昨季王者の浦和も倒したい。まあ、どんなチームができるか期待してください。

それはそうと、夢穂とキングは私のことを何て呼ぶかで勝手に盛り上がってました。「大野コーチでいい?」と言うから「ダメ。『コーチ』は禁止」。すると「じゃあ『しのぶちゃん』は?」だって。もう面倒くさいから「それでいいよ」。

ホント、楽しいチームになりそうです…。

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