菅首相、接待報道の長男は「一民間人。答えるべきでない」 森会長の蔑視発言「詳細承知していない」とも

野党側の週刊誌報道についての質問途中に、人さし指を立てて答弁を求める菅義偉首相=4日、国会内

 菅義偉首相(衆院2区)は4日、2021年度予算案を審議する衆院予算委員会の初日に臨んだ。新型コロナウイルス対策に加え、与党議員による銀座クラブの会食問題や首相の長男らが総務省幹部を接待したとする週刊誌報道について厳しい追及を受け、防戦に回る答弁も目立った。

 最初の質問者は自民党の下村博文政調会長。首相はワクチン接種の開始時期について「有効性、安全性を確認した上で、2月中旬にスタートしたい」と強調。下村氏は「補選で敗れれば政局」との発言で波紋を広げたが、結びに「全力で支えてまいります」と付言し、騒動の沈静化に努めた。

 立憲民主党の枝野幸男代表は「この国会の最大の課題は新型感染症から命と暮らしを守ることに尽きる」と語り、首相の認識をただした。これに対し、首相は「感染拡大を防ぎ、収束させることだ」と同調した。

 枝野氏は東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長による女性蔑視発言を問題視し、辞任を促すよう迫った。首相は「発言の詳細を承知していない」と答弁。議場から「えー」という驚きの声が上がったが、その後の質疑の中で「あってはならない発言だ」との見解を示した。

 総務省幹部らが報道事業会社に勤める首相の長男らから個別に接待を受けていたとする週刊誌報道も取り上げられた。首相は長男に電話をして総務省などの調査に応じるよう伝えたと明かした一方、「私の親族であるとはいえ、一民間人。名誉やプライバシーに関わることであり、本来答えるべきではない」と反論した。質問途中に自ら手を挙げて答弁を求めたり、語気を強めて抗議する場面もあった。

© 株式会社神奈川新聞社