川崎市、8月に新拠点開設 官学で福祉製品開発

「ウェルテック」のイメージ図(川崎市経済労働局イノベーション推進室提供)

 川崎市は4日、東京工業大、国立の産業技術総合研究所(産総研)と共同で、福祉製品の開発・改良拠点を整備すると明らかにした。市内の中小企業などが手掛けた高齢者や障害者の車いす、つえ、ベッド用品などの安全性を研究者がチェックして改良を加え、新製品の開発にも取り組む。官学連携で福祉製品の開発などを進める施設は全国でも珍しいという。

 市は2021年度当初予算案に関係経費を計上する方針で、同日の市議会総務委員会で報告した。

 新拠点を整備するのは、川崎区日進町の市福祉センター跡地に1月末に完成した官民複合施設「市複合福祉センターふくふく」内。1階の床面積約39平方メートルを「カワサキ ウェルフェア テクノロジー ラボ(ウェルテック)」とし、8月の開設を予定している。

 市内の中小・ベンチャー企業が持ち込む福祉製品を同大や産総研の研究員がチェック。「ふくふく」に開設予定の特別養護老人ホームや障害者入所施設の利用者が実際に使用し、評価する仕組みも導入する。

 同大と産総研は安全性の高い製品開発を目指し、17年度に市内福祉施設の協力で高齢者の日常生活の行動を調査。リスク要因を分析した技術に市が着目し、今回の施設整備につながった。

 委員会で市経済労働局イノベーション推進室の櫻井昇担当課長は「福祉製品とサービスの担い手となる企業を伴走支援したい」と話した。

 「ふくふく」は地上8階建てで敷地面積約4032平方メートル。3月に障害者入所施設、4月に特別養護老人ホームなどの利用を開始する予定。

© 株式会社神奈川新聞社