ドルコスト平均法の効果を検証!1990年から日経平均を月1万円買っていたら?

前回は「失敗しない投資」ということで、「ドルコスト平均法」を紹介しました。

実際に積み立て投資がどのくらい有利かということを検証してみましょう。もちろん、株価がどのような動きをしたかで結果は違ってきます。株価が高くなるのか、安くなるのかがわからずに失敗するのですから、上がっても下がっても利益が出る投資こそが失敗しない投資なのです。


「ドルコスト平均法」の検証

ドルコスト平均法を使えば、基本的にはいつ始めても利益が出るということになります。つまり、一度に投資をしようと思うと「安いところで買う」ことが必要になるのですが、ドルコスト平均法はどこが安いところかわからない中での投資ですから、逆に言えば、いつ買っても良いという投資法です。

この方法では、安値でも高値でも、同じ金額だけ買います。だから、安いところではたくさん買うことができ、高いところでは少なく買うという結果になります。

2020年一年間投資した場合

具体的に、2020年初めから日経平均に投資をしたケースで検証してみましょう。年初の1月6日の日経平均は、前年末に比べて大幅下落となり23,204円で終わりました。その後、3月19日に16,552円の安値となり、その後は一貫して上昇基調となりました。

そして、年末の12月末まで高く、2021年になってもさらに高値を付け、1月14日に30年ぶりの高値水準である28,698円となり、15日現在でほぼ高値圏にある状況となりました。(日経平均日足のチャート(グラフ)参照してください。)

後からみれば、20年3月頃に買い、放置しておけば良かったのです。しかし、実際には暴落の最中には、「もっと下がるのではないか」と買うことができないものです。もし下がり始めで買ってしまえば、さらに下がるとどうしようもなくなります。

毎日1000円ずつ買うと?

例えば、ドルコスト平均法で毎日、日経平均を終値で1,000円ずつ買い続けたとします。東京証券取引所で立ち合いが行われていた日数が252日あるので、総額252,000円を投資したことになります。

そして、21年1月15日の終値で計算すると、合計は317,764円。1月中旬の高値でも買い続けたにも関わらず、投資総額25,200円に対して、65,764円(手数料等のコストは考慮していません。以下同)の利益が出ました。単純な利回り計算で約26%です。

推移をみると、1月の日経平均23,000円台から買い始め、16,000円台まで下落する過程では損失となっています。しかし、安値圏で買い続けることで、5月25日には早くも利益になり始めます。その後も上昇が続いたことで、結果的に利益が増え続けたのです。

年始にまとめて買った場合は

一方、総額252,000円を1月6日に23,204円で投資したとすれば、21年1月15日の終値が28242円なので、21.7%の上昇で57,712円の利益が出ていることになります。しかも、しっかりと利益になり始めたのは、11月の急騰からです。

ドルコスト平均法は当初は1,000円の投資から始まっているのですから、少額でもコツコツと積み立てていくことで、大きな利益になります。しかも、23,000円台から始めたにも関わらず、5月の日経平均が21,000円前後の水準でも利益が出ていたのです。

1990年から月1万円買っていると?

たまたま、2020年の相場が3月という早い時期に底値を付け、年末年始が高値だったので、ドルコスト平均法にしても有利に働きました。ドルコスト平均法は安値で売らない限り利益が出る、利益が出るまで待つことができれば必ず利益がでる(当たり前ですが)と考えることもできます。

実際に、現実的な投資として1980年代バブルの最後に投資を始めたケースで検証してみましょう。毎月月末に10,000円ずつ積み立てを行ったケースと、その期間である373か月分の373万円を1990年の1月末に投資したケースを比べてみました。

1990年1月末は、1989年末の日経平均の高値からは大きく下がりましたが、まだまだ現状よりも高い水準である371,885円でした。つまり、その時に投資資金を一気に投入して日経平均を買った場合は、いまだに大きな損失を抱えているのです。

21年1月15日現在の日経平均で計算すると、実に23%程度も安い株価です。373万円の資金も286万円あまりに減り、87万円程度の損失となってしまっています。

ところが、ドルコスト平均法で1990年の月末に毎月1万円ずつ日経平均を買い続け、最後に21年1月15日買ったとすると、投資総額373万円に対して現在は723万円あまりになります。なんと350万円もの利益となっているのです。

安値の時にたくさん買える

もちろん、3万7000円台で買い付けたものは損失となっていますが、安値の7000円台でも買い付けている期間もあります。さらに3万7000円台で買った株数は、7000円台で買い付けた株数の5分の1なので、大きく利益が出ているのです。

また、リーマンショックといわれた暴落の直前から始めても、アベノミクスの最初の上昇ですぐに利益になりました。ここにも、ドルコスト平均法のメリットが如実に示されているのです。

ところが、一気に投資した場合は、買い付け後に一度もプラスになりません。損失も一時期は投資金額の5分の1近くまで減少するので、精神的にもダメージがあったのではないかと推測されます。積み立て投資の場合は、資金が減少した場合でもその割合が少なくて済み、まさにリスクを回避し、失敗しない投資となったのです。

投資のノウハウは必要なし

つまり、時間さえ掛ければ、投資のノウハウなども必要なく、大きく利益を出すことができたということなのです。投資する資金がなくても毎月少額から始められますし、始めるタイミングを計る必要もないということです。

必要なのは継続すること、無理をしない資金で始めるということだけです。iDeCoや積み立てNISAなどの非課税制度などを利用して失敗しない投資をするにはいいと思います。

ドルコスト平均法での投資は株式の「インデックス投資」が代表的ですが、金の積み立てや暗号資産でも一定金額の積み立てというスタイルなら、失敗せずに投資ができるのです。

個人的には金の積み立ては為替も関係しますし、毎日買い付けてくれるものですから、非常にいいと思います。そして何より、株価や金価格、為替などいろいろな値動きを知ることで経済の仕組みなどの勉強にもなり、投資初心者にも適していると思います。是非、実践してみてはいかがでしょうか?

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