長い会議

 私事で恐縮です-と前置きすべきだろうか、県の審議会や懇話会に委員として出席させていただくことがある。ひそかな目標として自分に課しているのは「議事録に痕跡を残してくること」▲責任感と呼ぶほど強い気持ちでもないが、黙って座っているだけの飾り物が務まるほど上等でないことは自覚しているからだ。もちろん「誰かが発言したから負けずに…」の“競争意識”など無縁である▲森喜朗氏は長い会議がよほど嫌いらしい。顔触れも決まらないうちから女性は話が長いと決めつけ、発言時間の規制にまで言及するほどだ。形式ばかりで右から左に進む会議に慣れているのだろう。異なる意見に耳を傾ける姿は想像しにくい▲その森氏、五輪・パラリンピックは「どんな形であっても開催する」そうだ。大会組織委会長としての決意は承っておくが、その「形」を巡っては冷静で丁寧で慎重で詳細な検討が欠かせまい。難しい会議になる。その意味でも森氏の適格性は疑わしい▲会議と言えば…「Amazon(アマゾン)」の会議には必ず空席が一つ用意されるそうだ。会社にとって最も大切な「顧客」の存在を忘れぬための戒めという▲この発想が森氏やその周辺にあれば、もっと違う対応、素朴な結論になるはず-と、ありもしないことを考える。(智)


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