読者に聞いた 「森会長の女性蔑視発言、あなたはどう思いますか?」

森会長の発言に対し、県内の女性議員らが7日、JR小田原駅前で抗議デモを行った

 東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長による「女性蔑視発言」について、読者とともに調査報道に取り組む「追う! マイ・カナガワ」は8日、無料通信アプリLINE(ライン)で登録した「マイカナ友だち」に今回の発言やジェンダー平等の在り方について意見を募った。発言に対して怒り、ジェンダー格差是正を求める声が大半を占めた。また、辞任を求める声も相次ぐ中、対話の姿勢も大切ではないかという意見が寄せられた。

 五輪でボランティアに携わる予定の横浜市磯子区の50代の主婦は「森氏の顔は今後見たくない」と、五輪の精神とはかけ離れた発言に憤る。「選択的夫婦別姓が導入されず、皇室の皇位継承に女性が認められておらず、女性が多い保育士、看護師、介護士の低賃金の問題など、日本の女性軽視の問題が森氏発言で国際的にも再認識されたと思う」

 ジェンダーギャップ(男女格差)指数が121位にとどまる日本。職場や地域で経験した違和感も数多く寄せられた。

 「就職して間もない頃、『女になんて話すことはない。男に電話を代われ』などと言われるのは日常でした」(横浜市神奈川区・49歳派遣社員の女性)。消防団員の女性は「女性も訓練に参加しているのに、区の幹部クラスに女性が入ることはとても難しい。意見もなかなか聞いてもらえない」(同市旭区・45歳主婦)と投稿した。

 「女性がたくさん入る理事会は時間がかかる」などの発言に対し、PTAの役員経験がある座間市の50代のパート女性は「PTAは女性が大半でしたが、誰もが立場と使命感を共有し、限られた時間を有効に使って会議が進んだ」と疑問を投げ掛ける。鎌倉市の53歳の自営業男性は「『男子が先、女子は後』のような育ち方は時代錯誤な習慣。特に政治家は意識を変えてほしい」と意見を寄せた。

 また、大和市の40代の保育士の女性は「子どもたちには、男女の区別をするようなことは言わないよう、性別でピンクや青などと指定しないようにしている」と話す一方、「経営者は森氏のような年配の男性が多く、女性が物を言うと『生意気だ』と思われ、現場の声をトップまで持っていけない」と吐露した。

 80代の森会長の発言を同世代はどう見たのか。海老名市の82歳の無職男性は「発言には根拠が無く、森さんがもともと持っている女性の社会参加を歓迎しないという思いが表面化したのでは」と言い、「『森さん辞めろ』だけでは解決できない。根源にメスを入れなければ」と社会を憂う。

 「今すぐ辞めてほしい」という意見も多数寄せられる中、横浜市神奈川区の60代無職男性は言う。「退任を求めるのは当然。だけど、抗議の声に混じって『老害』というのは違うと思う」。相模原市の47歳の医師の女性は「『困った人』は『困っている人』だと思う。その人を排除するのではなく、研修なり教育なり受けてもらい、手を差し伸べられる社会がいいと思う」と提案した。

 意見は8日に募集し、約70人から寄せられた。

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