香川真司を脅かすPAOK〝世界最凶〟サポーターと〝武闘派〟オーナー

香川はPAOKサポーターを味方につけることができるか(ロイター)

ギリシャ1部PAOKの元日本代表MF香川真司(31)は〝世界最凶軍団〟を味方につけることができるのか。新天地で上々の滑り出しを見せたが、今後プレーする上で気をつけなければいけないのが熱狂的過ぎるサポーターだ。数々の大事件を起こしてサッカー界を震え上がらせており、香川にとっては決して敵に回してはいけない存在。「世界のベストフーリガン」のバイオレンスな実態とは――。

サッカー界でPAOKといえば、選手よりもサポーターのほうが有名。その理由は、これまで驚がくの事件を数多く起こしてきたからだ。

昨年1月4日、PAOKとアリスによる同じ本拠地同士の〝テッサロニキダービー〟の試合後に悲劇は起きた。約20人のPAOKサポーターが、アリスとつながりのあるブルガリア人ファンを襲撃。集団リンチした揚げ句、虫の息だった28歳の男性ファンを自動車が行き交う車道に放り出し、車にひかせて殺害するという残忍この上ない事件が発生。警察が14人を逮捕した。

2018年2月にはオリンピアコス戦の試合前にPAOKサポーターが相手のオスカル・ガルシア監督にトイレットペーパーを投げつけて顔面を直撃。病院に搬送されて試合は中止となり、リーグが勝ち点3の剥奪や罰金などを命じた。すると、PAOKサポーターが逆ギレ。約40人の集団が国営放送ERTに乗り込み、生放送中のスタジオに乱入して処分への抗議声明を読み上げ「スポーツ史上最大のスキャンダルだ」などと訴える暴挙に出た。

こうした例は氷山の一角。世界各国のフーリガン(過激なサポーター集団)も一目置く存在で、「世界のベストフーリガン」と題したPAOKサポーターの暴れっぷりをまとめた動画も存在。そこには相手サポーターとの乱闘や投石、路上での放火や警官隊との衝突など傍若無人の数々が映っており、世界中のフーリガンからも恐れられている。あまりにも悪名が広まりすぎたことで、アウェーに乗り込んだ際に相手サポーターから狙われて拉致されるトラブルが発生したこともある。

もちろんクラブが低迷したり、ふがいない内容の試合をした場合には暴動や抗議は日常茶飯事で、味方となれば心強い半面、もし標的にされればその恐怖は計り知れない。現在は新型コロナウイルスの影響で無観客開催が続いているとはいえ〝襲撃〟のリスクがゼロになったわけではない。

PAOKといえば、過激サポーターはもちろんのことロシアのプーチン大統領の盟友で〝武闘派オーナー〟のイバン・サビディス氏(61)も有名。18年の本拠地での試合中にPAOKに不利な判定に激高し、数人のボディーガードを引き連れて拳銃持参でピッチに乱入し、ギリシャサッカー界を揺るがす大騒動を起こした。サポーター軍団はコワモテのオーナー以上に世界のサッカー界で恐れられる存在と言えるだろう。

香川は入団時に「非常に熱いファンがいると聞いているので一緒になって戦ってくれたらうれしく思う」と語ったが、安心・安全にPAOKで活躍するためには、世界最凶サポ軍団を納得させるだけのプレーを見せ続ける必要がありそうだ。

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