【新日本】飯伏 V2戦のSANADAに“ウザ絡み”するワケとは…

飯伏(上)はミサイルキックをSANADAに放った

新日本プロレスのIWGPヘビー級&インターコンチネンタル2冠王者・飯伏幸太(38)がV2戦(11日、広島サンプラザホール)で迎え撃つSANADA(33)に対する執拗な「語りかけ」の真意を明かした。寡黙な挑戦者にあえて会話を呼びかけた揚げ句、直接関係のない人物を巻き込み暴走する一幕も。無謀かつ無鉄砲に見える言動の裏にあるのは――。

今シリーズの飯伏は必死に挑戦者との対話を試みた。「ベルトを取った後、何がしたいのか」などと連日呼びかけたが、SANADAは最低限の返答と無言を繰り返すばかり。その結果、話し相手がいない2冠王者は、10日広島大会でIWGPジュニアヘビー級王座戦を控える高橋ヒロム(31)とSHO(31)のバックステージに乱入する日さえあった。

いったい狙いは何だったのか。飯伏は「ただ欲しいだけじゃ(ベルトは)あげられない。でも結果的に『ただ欲しい』だけでここまで来てる。個人の自由だからそれでもいいと思うけど『その先』がないと面白くはないよね」と問題提起する。

2冠奪取後は賛否両論が起こるのを承知でベルト統一の野望を掲げた。他にもツイッターで海外団体にメッセージを送るなど既存の枠にとらわれない言動が続く。「いろいろ怒られたけど。まだ(やりたいことの)1000分の2しか言ってないけど、ちょっと暴れすぎたと。でも今はやりたかったことが言えるようになった」

ファンに夢を与えるのも王者の使命だと、業界の顔となったことで覚悟は格段に増した。「(以前は)どこかで誰かが言ってくれるだろうと頼ってたりとか。思ってても一人では変えられないでしょとか、半分諦めの気持ちもあって。それがベルトを取って、本当に変えることができるんじゃないかと思うようになった。実際取ってみて、やっぱり違う」と改めて最高峰のベルトの重みを実感したからだ。

だからこそ挑戦者にも思いを言葉にする重要さを訴える。寡黙な人間であるのを分かった上での“ウザ絡み”は助言の意味もある。「そこ以外の部分は全部認めてる。だから言ってるんですけどね。俺自身も単純に興味あるし『もっと言ったほうがいいよ』だったんだけど」と説明した。

8日後楽園大会の前哨戦は両雄譲らず、30分時間切れドローに終わった。「もちろんプロレスって体を使って、頭を使ってなんだけど、トップのレベルまでいくと総合的な能力の差はあまりない。そうなってくると(勝敗を分けるのは)ベルトに対してのいろいろな気持ちなんじゃないのかな」。真のトップに立ったことで手にしたさらなる強さを広島で証明する。

© 株式会社東京スポーツ新聞社