補強完了のカージナルス 打線の起爆剤として期待されるアレナード

わずか2週間のあいだにアダム・ウェインライトとの再契約、ノーラン・アレナードの獲得、そしてヤディアー・モリーナとの再契約を実現させたカージナルスは、どうやら今オフの補強を終えたようだ。ジョン・モゼリアック編成本部長は「現在のチームでキャンプを迎えることにかなり自信を持っている」と発言し、主な補強が完了したことを示唆した。目玉は何と言ってもアレナード。近年のカージナルスは得点力不足に苦しんでおり、打線の起爆剤として期待される。

昨季のカージナルスは地区2位で2年連続のポストシーズン進出を果たしたものの、チーム打率.234はリーグ11位、240得点は同14位、51本塁打は同15位。投手力と守備力に依存した戦い方は不変だった。全試合で3番を打ったポール・ゴールドシュミットが打率.304、出塁率.417と孤軍奮闘したが、6本塁打、21打点と迫力不足。4番打者はチーム全体で打率.198という有様だった。

しかし、この状況をアレナードが一変させる可能性がある。2015年から5年連続で少なくとも37本塁打、110打点を記録し、本塁打王3度、打点王2度。カージナルスでシーズン100打点以上の打者は2012年のマット・ホリデイを最後に誕生していないが、アレナードが故障なく実力を発揮できれば、ホリデイ以来の達成者となるのは確実だ。正遊撃手のポール・デヨングは「アレナードのような選手が中軸にいると、相手投手からの見方も完全に変わるだろう」とアレナード加入の効果に言及する。

また、アレナードがゴールドシュミットの後ろ(4番)を打つことにより、ゴールドシュミットに集中していたマークが分散するという効果も期待できる。アレナードが実力を発揮し、ゴールドシュミットがダイヤモンドバックス時代のような強打を取り戻せば、カージナルス打線の中軸は相手投手にとって大きな脅威となるはずだ。

さらに、守備力を犠牲にすることなく打線を強化できたという点も特筆に値する。打撃力と守備力はトレードオフの関係にあるケースが多いものの、アレナードはメジャー1年目から8年連続ゴールドグラブ賞の名手。今オフ、カージナルスは2年連続ゴールドグラブ賞のコルテン・ウォンを手放しているが、トミー・エドマンが三塁から二塁へ移り、アレナードが三塁に入ることによってウォン退団のダメージを見事にカバーしている。

最優先課題だった2人のベテランとの再契約に成功しただけでなく、チームの武器である守備力を犠牲にすることなく打線を強化したカージナルス。今オフの移籍市場において最大の収穫を得たチームの1つであると言っても決して過言ではないだろう。

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