森喜朗会長 昨年12月にも大失言「コロナっていいですね」 そのココロは…

厳しい表情の森喜朗会長(ロイター)

〝失言〟はほかにもあった――。東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長(83)が12日、女性蔑視発言の責任を取って辞任を表明した。それでも、舌禍騒動は世界中に拡大しており収束しそうにない。そうしたなか、渦中の森氏は昨年12月、元閣僚の政治資金パーティーで「コロナっていいですね」などと語っていたことが分かった。パーティーの出席者が証言した。これもまた波紋を呼びそうだ。

森氏は12日、都内で行われた理事会と評議員会の合同懇談会に出席。辞任を表明した。

冒頭で「理事、評議員の皆さま、多くの皆さま方にご迷惑をおかけしたことを誠に申し訳なく思う」と陳謝し、引責辞任で騒動の幕引きを図る意向を示した。

国内ばかりか国外からも袋叩きされている森氏だが、失言の〝予兆〟はあった。昨年12月、都内の高級ホテルで開催された元閣僚の政治資金パーティーでビミョーな発言をしていた。パーティー出席者の証言。

「壇上であいさつした森さんは『コロナっていいですね。飲食物を出さなくていいですから』といった趣旨の発言をしたんです」

政治資金パーティーは、議員が政治活動する上で必要な軍資金をかき集めるのに欠かせないが、「コロナっていい」発言は誤解を招きかねない。森氏はナニを言いたかったのか。

政治資金パーティーに出席するために購入する券、いわゆるパー券の相場は2万円で、パーティーにはおおよそ数百人単位が来場する。

パーティーを主催する議員側は、パー券から得た莫大な会費の一部を出席者に振る舞う飲食費や会場となるホテルの使用料などにあて、残りが〝収入〟となる。くだんの元閣僚のパーティーも2万円で、前出出席者によると「官邸幹部や議員、関係者など300人ほど」が来場したという。

ただ、新型コロナウイルス感染拡大予防の観点から、議員たちは昨秋からパーティーで飲食物の提供をやめている。

「つまり、パーティーを主催する議員側としては飲食費が浮き、その分だけ〝収入〟が増えます。森さんは〝これまでと違ってコロナ禍でのパーティーは実入りがいいですね〟と言いたかったようです」(前出出席者)

出席者たちは森氏のあいさつを神妙に聞いていたため、「コロナっていい」発言が飛び出した後も静かだったという。

だが、翌日以降、ウワサは瞬く間に永田町に広まった。

「森さんは昔から話を盛って周囲を笑わせようとするから『盛(もり)喜朗』なんて呼ばれることもあります。でも、『コロナっていい』発言は果たしておもしろいのかと。新型コロナは未曽有の国難なのに」と永田町関係者は首をひねり、「かねて失言を繰り返し、その上で女性蔑視発言をしては、会長職の引責辞任もやむを得ないでしょう」と指摘した。

森氏といえば、「神の国」「子供をつくらない女性の面倒を税金でみるというのはおかしい」「あの子、大事な時には必ず転ぶ」などなど失言は数多い。今回は国際的な失言で表舞台から去ることになった。

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