長崎県・波佐見町官製談合事件 「再」再発防止へ検討大詰め 厳しい視線、問われる実効性

波佐見町の官製談合事件を巡る経過

 長崎県東彼波佐見町発注工事を巡る官製談合事件を受け、町が進める再発防止策の検討が大詰めを迎えている。同町では2017年12月にも同様の官製談合事件が発覚。短期間での再発を許した町への視線は厳しく、実効性のある対策を示せるかが焦点だ。
 昨年9月、当時の町教委係長と町内の電気工事会社社長が逮捕され、同12月に長崎地裁佐世保支部で有罪判決を受けた。判決などによると、係長は町立小中学校の空調機器設置工事の設計金額を社長に漏らし、指名競争入札で最低制限価格に近い金額で落札させた。判決を受け町は係長を懲戒免職処分にした。
 町は17年12月に発覚した官製談合事件を受け、職員への研修や倫理規定策定などの再発防止策を講じていたが防げなかった。昨年の事件を受け、町はあらためて再発防止検討委員会を設立し、これまでに会合を計8回開催。3月をめどに2度目となる防止策を取りまとめる方針だ。
 検討委では、部会を新設したり、参加する職員の幅を広げたりして協議内容を深めた。外部委員の人数や意見を聞く機会を増やし、透明性を確保するために議事録も公開する予定。
 昨年の事件では、係長が私用の携帯電話で日常的に業者と連絡を取っていたことや随意契約の工事を頻繁に発注していたことが問題点として指摘された。これを受け町は、携帯使用のルール化や公用携帯の導入を検討。随意契約で業者の偏りを防ぐため、発注や見積もりの状況を役場内で共有する。他にも県や他市町を参考に具体的な改善策が盛り込まれる。
 一瀬政太町長は「事件発覚直後から現場に近い職員が積極的に動き、真剣に取り組んでいる。良いものができるはずだ」と話す。
 一方で議会側の不信感は根強い。事件が発覚して間もなく町長の問責決議案を可決。同10月の改選(無投票)で顔触れが変わって以降も、町長の責任を問う声がくすぶる。町長と副町長を減給処分とする条例改正案は「再発防止の熱意が感じられない」と否決した。
 「批判だけでなく議会の意見も示す必要がある」と全員参加の調査特別委員会を立ち上げ、1月には町に提言書を出した。「前回の再発防止策は形式的だった」として、公務員倫理の啓発や組織体制の見直しなどを求める内容。特別委副委員長の田添有喜議員は「町が示す再発防止策の中身はもちろん、町長自身がどの程度強い覚悟を発信できるのかも見ていく」とけん制する。

大詰めを迎えている官製談合再発防止検討委員会=波佐見町役場(同町提供)

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