社労士がアドバイス「コロナ解雇」闘争中でも健康保険を使える方法

コロナ解雇で法廷闘争中でも国民健康保険に加入できる(写真はイメージ)

病院を我慢する必要はない。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、東京都など1都2府7県に出されている緊急事態宣言はいまも継続中だ。終息の見通しがはっきりしないなか、コロナが影響した解雇がさらに増えることが予想される。解雇無効を訴えて争う人も出てくるだろう。その際、心配になるのが保険だ。

日本国内では14日、新たに1364人の新型コロナウイルス感染者が確認された。内訳は東京371人、埼玉131人、千葉108人、大阪98人など。一時に比べて減少傾向にあるのは間違いないが、まだまだ予断を許さない状況だ。

そうしたなか厚生労働省は、コロナ関連の解雇や雇い止めについて、8万2050人になると1月に発表していた。中でも東京都の1万9468人など、都市部の数が多い。昨年10月の発表では全国で6万3347人だった。飲食業を中心に厳しい状況が続いており、今後も増加する可能性がある。

解雇されてしまったら、解雇無効をめぐって法的に争う人もいるだろう。ただその場合、こんな心配があるという。

コロナとは違う理由の解雇だが、解雇無効を求めて争っている男性は「実は健康保険の資格が喪失になったので実質、無保険の状態なんですよ。離職票や会社からもらう退職証明書で国民健康保険の手続きをすればいいのですが、それをやっちゃうと解雇を認めるみたいじゃないですか」と明かした。

会社を退職すると、通常ならその日から会社の健康保険ではなく国民健康保険になる。手続きには離職票や退職証明書が使われることが多いが、解雇無効を争っている最中だと、前出の男性のように「国保の手続きをしたら解雇を認めたことにならないか」と考えたとしても無理はない。しかしこのコロナ禍で体調が悪くなったら、病院に行くのをためらうのは、とても正しい状況とは言えないだろう。

こんな状況になったら、どうしたらいいのか? 社労士は次のようにアドバイスする。
「解雇された会社に対して、弁護士から『解雇には納得していないが、必要だから退職証明書を使って国保の手続きをする。解雇を認めるわけではない』と伝えてもらいましょう。会社は『自分たちに有利になる』と思うかもしれませんが、実際に争いになっても労働者側にマイナスにはなりません。ここで我慢をする必要はありません」

こうした問題はネット上で最近、「コロナ解雇では退職届は書くな」という話題が広まっているほど、多くの人にとって関心のあることなのだ。「解雇の話があった時によくあるのが、『必要なものだからちょっと書いてくれ』とA4サイズの1枚の紙にサインを求められることです。『そういうものか』とサインしがちですが、これが退職届にされることもある。自分で辞めたことにされるので書かないように」(前出の社労士)

コロナ禍では、確かに会社も大変だが、労働者も大変。社労士は「どんな状況でも対処法はあるはずなので、専門家に相談してほしい」と呼びかけている。

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