【カーリング】なぜ太陽は沈んだのか? ロコ・ソラーレに見えた心の隙

ロコ・ソラーレの藤沢はショットの安定性を欠いた((C)JCA IDE)

代表争いの行方は――。カーリングの日本選手権最終日(14日、北海道・稚内市みどりスポーツパーク)、女子決勝が行われ、北海道銀行が平昌五輪銅メダルのロコ・ソラーレ(LS)を7―6で下し、6年ぶり2度目の優勝。北京五輪の出場権争いは、代表決定戦に持ち込まれた。運命を左右する大一番を前に、1998年長野五輪女子代表の大沢明美氏(47)が本紙の取材に応じ、両チームを徹底分析。今大会から見えた選手たちの“伸びしろ”に迫った。

決勝まで7戦無敗と前評判通りの力を発揮してきたLSだったが、最後の最後に落とし穴が待っていた。5―5で迎えた第9エンドに1点を獲得してリードを奪ったものの、第10エンドはハウス内に北海道銀行のナンバー1、2の石が残った。スキップ・藤沢五月(29)がショットを放つも、状況を変えることができず万事休す。試合後には「私のショットの安定感がなかった。スキップとしての役割を果たせなかった」と唇をかんだ。

激闘を見守った大沢氏は「LSはあまり調子がよくなかった。今までの試合とは全然違う感じで、ちょっと波に乗れずにミスが続いた。北海道銀行はそういった相手の状況を見て作戦を組み立てたところがあった」と振り返った。その上でLSの選手たちのメンタル面についても触れ「もしかしたら今回は(北京五輪の)選考会というのが頭にあったのでは。ここで決めるぞっていう気持ちはあるんだけど、もし負けても次があるという気持ちがどこかにあったかもしれない」と指摘。藤沢らに“心のスキ”があったとみている。

とはいえ、LSは4年前の日本選手権で中部電力に敗れながらも、代表決定戦で3勝1敗と勝ち越し、平昌五輪の出場権をたぐり寄せた。土壇場での強さは証明済みだけに「LSはやっぱり最後に強い。ここぞってときに力を出す。ここで勝たないと五輪がないというときには力を出せるチーム」と評価。今後については「負けからたくさん学んで、自分たちが何をしたらいいのかっていうのを自分たちで解決できるチーム。今回負けたことで、さらにステップアップするんじゃないかな」とエールを送った。

北京五輪出場が“振り出し”に戻った藤沢は「少しタフになって帰ってきたい」と言えば、サード・吉田知那美(29)は「強くなるための課題を神様が与えてくれた」ときっぱり。代表決定戦の舞台では、五輪切符を譲るつもりはない。

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