阪神の黄金ドラ1・佐藤輝 ライバル球団が三塁手起用を推すワケ

佐藤輝の三塁手起用はありかなしか

意外な〝オマケ〟が期待できるかもしれない。阪神のドラフト1位新人・佐藤輝明内野手(21=近大)のポジションを巡って、ライバル球団から「三塁手での起用」をプッシュする声が上がっている。

昨秋のドラフト会議で4球団が1位指名で競合した佐藤輝は紛れもない金の卵。すでに練習試合などの実戦でも非凡な打撃センスの片りんをうかがわせており、開幕スタメンに食い込んでくる可能性は高い。

問題はどこを守らせるか。三塁手で出場した16日の楽天との練習試合では唯一の守備機会で野選を記録した。近大では昨年主に三塁を守ったが、虎のホットコーナーには昨季28本塁打、85打点でチーム二冠だった大山悠輔内野手(26)が君臨している。

矢野監督も「もちろんチャレンジしたい気持ちは歓迎だけど…」と言葉を濁すように、開幕スタメンを占う上で、佐藤輝の三塁起用の可能性はゼロに近い。より多くの試合に出場するためには、外野での定位置確保が現実的だろう。

ただ、同じ沖縄県内の北谷でキャンプ中の中日関係者は「今後も状況次第で佐藤輝を三塁手として使うのは、決して悪いことにはならない」と切り出し、こう続ける。

「ウチの遊撃がいい例。ここ数年、京田が年々、周囲からの信頼を得ているように見えるけど、現時点で既に根尾が後釜に控えている。実際にそうなるかは別にして、レギュラーをつかんだ直後から『自分を脅かす存在』がすぐに現れ、京田はここまで常に取って代わられる可能性がある中で遊撃を守っている。そういった環境的要素が、彼の技術向上スピードにも多少なりとも関与していると思います」

つまり、阪神でも中日の「京田―根尾」のような世代間の関係性を上手に利用すれば、結果的に突き上げを食らう立場にある大山にも何かしらのプラス作用が働く可能性が高いというわけだ。

5年目を迎えた今年の大山はバットでは全ての項目で昨年以上の数字を目標に定め、守備でも三塁手でゴールデン・グラブ賞を狙っている。最終的に指揮官がどんな決断を下すかとは別に「佐藤輝の三塁起用」というカードをキープしておくのは〝あり〟だろう。

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