田中将大は配球もメジャー流 楽天捕手が感じた“意図”「打者は嫌がると思う」

楽天・田中将大【写真:荒川祐史】

「意識を持ったことのない投手が田中さんを見て変わるかもしれない」

楽天に8年ぶりに復帰した田中将大投手は17日、沖縄・金武キャンプで5度目のブルペンに入り36球を投げ込んだ。いよいよ今季初の実戦登板となる20日の日本ハムとの練習試合(金武)で、メジャー7年間の経験値をプラスした“ニュー・マー君”の一端を披露する。

田中将は過去4度のブルペン入りで、1軍キャンプに参加中の捕手4人全員と1度ずつコンビを組んだ。この日は昨季、チーム最多の67試合でマスクを被った太田光と7日の初ブルペン以来2度目の組み合わせ。田中-太田の”爆笑問題バッテリー”の呼び名が浸透しつつある2人である。

「田中さんはブルペンでも1球1球意図を持ち、強いイメージを持って投げている。それが捕る側にも伝わってきます」と太田は述懐する。

マー君自身、24勝0敗という超人的な活躍で楽天をリーグ優勝と日本一に導いた8年前とは、同じピッチングスタイルではない。太田はブルペンや宿舎の食事会場で幾度となく田中将と会話を交わし、「日本で主流といわれる攻め方とは違う」と感じるようになった。実戦では「まず田中さんがアメリカでやってきた組み立てでやってみて、相手打者の反応を見たい。おそらく打者にとっては、あまり経験したことのない攻め方をされることになるので嫌がると思う」と言う。

「キャッチャーもそうですが、投手陣全体にいい影響が出れば」

特に太田が驚いたのは、田中将がブルペンで時おり「インハイ真っすぐ!」、「高めスライダー!」などと予告しながら、高めのストライクゾーンへ平然と投げ込んでくることだった。高めは長打を食らうリスクが高く、特に球速、球威の落ちる変化球を意図的に投げることは、投手にとっては勇気がいることで、わざわざブルペンで練習する投手は少ない。

「そこへ投げる技術はあっても、試合ではあえてそこで勝負をしたがらない投手がほとんどです。普段やり慣れない冒険をして打たれたら悔いが残るので、やはり自信のある球で勝負したいというのが投手心理。僕らも理解できます」と太田は説明する。「そういった(高めを使う)考えを持ったこともなかった投手は、田中さんを見て変わるかもしれない。僕らキャッチャーもそうですが、投手陣全体にいい影響が出ればいいと思います」と語った。

太田も試合で田中将とバッテリーを組むことを想定し、準備に余念がない。YouTubeで田中将のヤンキース時代の奪三振集などを繰り返し視聴。「メジャーの捕手の構えと僕の構えを比較しながら、田中さんに『こうした方がいいですか?』などと相談しています」と明かす。

田中将1人が入ったことで、楽天投手陣全体の投球の幅が広がる可能性もある。キャッチャーとしても、田中将の“相方”の座はぜひとも確保したいところだろう。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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