マクラーレン、680psを発生する最新ハイブリッドスポーツ『アルトゥーラ』発表

 マクラーレン・オートモーティブは2月17日、新型ハイブリッド・スポーツカー『マクラーレン・アルトゥーラ』のワールドプレミアを行った。

 アルトゥーラはマクラーレン初となるハイパフォーマンス・ハイブリッド・スーパーカーの量産モデル。レーシングカーとロードカーのノウハウと技術が注がれた1台だ。

 搭載されるパワートレインは新開発の3.0リッターV型6気筒ツインターボ・ガソリンエンジンと、電動モーター、高エネルギー密度バッテリーパックで構成され、システムの合計出力は最高680ps(500kW)、最大トルクは720Nmを発生する。

 新開発のV型6気筒ツインターボ・ガソリンエンジンの最高出力585psで、1リッターあたりの出力は200psに迫り、585Nmのトルクを発揮。ドライサンプ式でアルミニウム製のため、エンジンは160kgと軽量かつコンパクトな設計となっている。

マクラーレン・アルトゥーラ

 
 このV6ツインターボ・ガソリンエンジンと調和して働くEモーターは、トランスミッションのベルハウジング内に搭載される。最高出力95ps(70kW)、最大トルク225Nmを発生し、1キロあたりの電力密度はマクラーレンP1のシステムを33%も上回るという。

 また、アルトゥーラはマクラーレン・カーボン・ライトウェイト・アーキテクチャー(MCLA)を採用する初めてのモデルだ。その内部では、コンパクトなHPHパワートレイン、電気系統で使われる配線の重量を10%削減するなど、徹底的な軽量化が図られた。

 搭載されているハイブリッド・コンポーネントの総重量はわずか130kg(うちバッテリーが88kg、Eモーターが15.4kg)で、車両重量は1498kgに。これは、ハイブリッド・パワートレインを搭載していないスーパーカーと同等レベルといって差し支えないものだ。

 これらのパッケージにより、アルトゥーラの発進時のパフォーマンスは0-100km/h加速が3.0秒、0-200km/hは8.3秒、0-300km/hでは21.5秒をマーク。最高速度は330km/hに制限されている。

 マクラーレンがるハイパフォーマンス・ハイブリッド・スーパーカーと呼称する同モデルは完全なプラグインハイブリッド(PHEV)機能を備えており、標準的なEVSEケーブルを使ってわずか2時間半で80%充電できる。また、選択した走行モードに応じて、走行中に内燃エンジンからバッテリーに充電することも可能だ。

 ボディサイズは全長4539mm、全幅2080mm、全高1193mmで、ホイールベースは2640mm。エクステリアデザインは、スーパーカーらしい低いノーズにキャブフォワード、ハイテールのスタンスで、マクラーレン特有のディへドラル・ドアは、よりボディに沿って開閉しミラーはさらにタイトに折りたたまれて格納される。

 そのフォルムは、空力性能と冷却のために気流を整え、パフォーマンスを最大化するよう造形されていて、フロント・スプリッターの中央部分は『eHVACシステム』の吸気口であるとともに、オプションのADASパッケージのフロント搭載レーダーも配置されている。

 コクピットはこれまでのモデル以上にドライバー中心の空間となり、走行モードのセレクターはインストゥルメント・ビナクルに移動された。代わってビナクルがステアリングコラムにマウントされ、ステアリングホイールとともに調節できるようになるなど運転時の人間工学がいっそう強化された。その結果、ステアリングから手を離さずに走行モードを調節できるようになっている。

マクラーレン・アルトゥーラ
マクラーレン・アルトゥーラ
マクラーレン・アルトゥーラ

■納車は2021年第3四半期に開始予定

 パワートレインの設定は、Eモード、コンフォート、スポーツ、トラックの4種類から選択可能だ。『Eモード』は電気のみを使う排出量ゼロの走行が可能で、1充電で30kmをEVとして走ることができる。

 複合的な走行状況に最適な『コンフォート』では、走行距離と効率性を最大化するため、ストップ&スタートモードの使用を拡張し、40km/h未満では内燃エンジンを停止、より大きな速度とパワーが求められる際は段階的に利用する。『スポーツ』と『トラック』は、低速域のレスポンスと加速のために、電力をよりアグレッシブに利用するモードだ。

 これとは別の『ハンドリングモード』では、ドライバーの好みや天候、路面状況に合わせて、ダンパーの硬さとエレクトロニック・スタビリティー・コントロールの介入の程度を調節することができる。

 また、アルトゥーラのパフォーマンスをより高めているのが、ピレリのサイバータイヤ技術を備える次世代のP ZERO CORSAタイヤだ。これは各タイヤ内部の電子チップがリアルタイムでデータを生成し、車両の安定制御システムに伝達するとともに空気圧を監視してタイヤのパフォーマンスを最適化するというもの。

 さらに、ブレーキのパフォーマンス性能もトピックのひとつ。アルトゥーラに装着されたカーボン・セラミック・ブレーキと軽量なアルミニウム製キャリパーは、マクラーレンの最新LTモデルのブレーキシステムと同じで、新たなリヤ・アクスルのキネマティクスと相まって、高速走行時に優れた制動力と安定性を発揮する。

マクラーレン・アルトゥーラのインテリア
マクラーレン・アルトゥーラのインテリア

 室内に目を向けると、アルトゥーラでは新形状のクラブスポーツシートが採用されている。軽量かつサポート力が高く、太もも裏のサポート、シートの高さ、背もたれの調節時には、シート全体が一体となって楕円の弧を描いてピボットする。また、オプションでコンフォートシートも選択可能だ。

 運転席まわりは、カーボンファイバー製シェルを採用。膝周辺の空間やレッグルームにも余裕があり、肩周辺の空間も広く確保されている。
 
 インフォテインメントおよびインターネット接続システム(MIS II)は、2個の高解像度スクリーンを活用する。インターフェースは、新しいソフトウェアと専用ハードウェアを基に、スマートフォン並みの応答性を実現し、スマートフォンのミラーリングも可能となっている。

 アルトゥーラは現在、マクラーレン正規販売店でオーダーを受け付けており、納車は2021年第3四半期に始まる予定。価格は本国イギリスで標準仕様185,500ポンド(約2740万円)から。モデル詳細はマクラーレン・オートモーティブのホームページ(https://cars.mclaren.com/jp-ja/artura)まで。

マクラーレン・アルトゥーラ
マクラーレン・アルトゥーラ
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マクラーレン・アルトゥーラ
マクラーレン・アルトゥーラ

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