山口香は橋本聖子新会長に「覚悟」を見た! セクハラ報道は次世代への教訓

橋本新会長について語った山口氏

東京五輪・パラリンピック組織委員会の新会長に就任した橋本聖子氏(56)が、女性蔑視発言で会長を辞任した森喜朗氏(83)の後を受けて新たなスタートを切った。今夏開催へ山積みの問題をどう解決していくのか手腕が問われるが、本紙で森氏に会長辞任勧告を突き付けた日本オリンピック委員会(JOC)理事の山口香氏(56)は一連の流れをどう見ているのか。ドタバタ劇を再び斬った。

山口氏が問題視するのは、森氏の後任を選定する「検討委員会」が完全非公開で行われたことだ。「人事の情報を公開するのは難しいという意見がありました。確かにそのことには同意します。でも100かゼロかではないと思うんですね」

今回の検討委は第1回(16日)で会長に求められる資質が議論され、第2回(17日)に候補者を絞り込み、第3回(18日)に後任候補に一本化した橋本氏の受諾が報告された。

これを踏まえ、山口氏は「1回目の会議は候補者の名前が出なかった。そこを公開すれば選考委員の本気度、熱量を伝えることができたと思う。出来レースでは? とか、最初から決まってたんじゃないの? って思われる人も、最初の会議を見たら少し印象が変わったと思う。そこが残念だと思いました」と語る。人選に関わる部分は非公開とし、活発な議論をオープンにすることで「最終的に橋本さんを選んだことの追い風にもなったのでは」と指摘した。

一方、連日のように複数の後任候補の名前が挙がる中、山口氏の待望論も根強かった。一部アンケート調査では次期会長候補として1位に。それに対しては「私を含めて多くの女性の名前が挙がったことが良かったと思う」と素直に喜んだ。

「今まで私はいろんなところで『女性を登用してください』って言い続けてきました。でも、必ず『誰がいるんだ』『(女性の適任は)いないじゃないか』って言われてきた。今回、多くの女性の名前が挙がったことで、様々な分野で意識を少し変えて見れば女性もいるってことが皆様に伝わったのなら幸い。非常に良かったと思う」

だからこそ、女性の橋本新会長が誕生したことには「良い人に落ち着いた」と目を細める。ただ新会長は、7年前のフィギュアスケート・高橋大輔(34=関大KFSC)への〝チュー強要過去〟が「資質」の問題として今も国内外で取りざたされ続けている。

では山口氏はどう考えるか? 「もし橋本さんが地位も名誉もない方なら、今さら言われる筋合いはないと思いますよ。でも、さらに高い地位を授かり、求められている。それなら蒸し返されても仕方ないと思う。つまり『人間』として評価されるわけですから」。

その上でそれを承知で大役を引き受けた姿勢を評価する。「今回こういう立場となり、きっとあの事件を言われるだろうって彼女も思っていたでしょう。家族もいますしね。だけど消せない過去を乗り越え、今回の抜てきでさらに見返す。そういう覚悟を私は見ました」

今後のイメージ回復については「メディアの人たちのハンドリングにもよると思いますよ。その(チュー強要過去)後の行動を斟酌し、今どこまで言うべきなのか問われていると思います」と強調した。

最後に山口氏は今回の件を踏まえ「やっぱり〝履歴〟は残るっていうこと。特に若い人たちには、今の時代の教訓にしてもらいたい」と警鐘を鳴らした。

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