がんになって『つらいでしょう』『かわいそう』はやめて カナダとの違い・・・日本のがん患者は生きづらいのでは? 46歳、両側乳がんになりました 71

検査・告知・手術・仕事復帰・・・誰かのお役に立てればと綴ります。

いつもお読みいただき、ありがとうございます。今回はSODANEをなんと海外から探してくださってつながったカナダにお住まいのみきさんとのお話。
(以前、ピンクリボントークしたときの様子はこちらhttps://youtu.be/CR_rm6QCk8M

カナダとZOOMで(イマドキ)

8月にり患してすぐのタイミングでのピンクリボントークをして以来、お声を聞くのは久しぶり。その後もいろいろ患者生活は話題がつきないそうです。

あくつ:『まずは、乳がんどうやってみつかったのですか?』
みき:『2019年の年末に身体を洗っているときにしこりみつけてそれが大きくなっていると。日本にいるときから乳腺症、石灰化といわれていて将来なるなら乳がんになるかと思っていました。徐々に大きくなているのを感じて、かかりつけの先生に連絡をとって、しこりがあるから検査したいと話してクリニックを紹介してもらい、マンモグラフィと超音波受けて、影はあるけど何があるかわからないということでさらに専門医に細胞診をして病理検査で乳がんとわかりました。』

※カナダは医療費が無料、さらにかかりつけ医制度で、かかりつけ医からクリニックや大学病院などへの予約(のようなもの)が必要。

去年の6月に発覚、8月に右胸の全摘と同時再建をしたみきさん。でも1泊しかせずに、すぐに退院して(させられて、笑)自宅で療養している、それもカナダと日本の違いだね、と話していました。そこまでは私も知っていましたが、実はそのあと、手術後の創部の感染症がわかり、入れたインプラントを抜去。気が付いたら8月~9月で3回手術という大変な経験をされました。

みき:『(胸の)中を洗う手術をした。それでも感染症がよくならなかったので、その場でインプラントを抜かれ・・・。さらにインプラントとられて、それを縫うことはなく、入院せずに家に帰されました。空いたままで、ふさいで縫う手術までの10日間、毎日、ガーゼを取り換えに病院に行かねばならなかったのです。』

※カナダは国民皆保険制度で医療費が(眼科・歯科・薬代)を除いてほぼかかりません。税金でまかなられています。一方で病院に簡単に行けなかったり、長期入院ができないなどの医療費を抑制するための策も。また州によってシステムなども異なります。

そんなことを乗り越えてもカナダはいいなというみきさん。

みき『カナダがすごいと思うのは、医療費が無料。国民ひとりひとりにナンバーがあてがわれてカナダの永住権はもっていないけれど、ワークビザがあり、正社員で働いているので加入条件を満たすことができ、保険に入ることができました。』

みきさんはホルモン受容体陽性のルミナールタイプ。右胸に腫瘍は3つあり、そのうちのひとつは4センチ近くあったといいます。そこで医師は化学療法をやるかやらないかを判断するために、腫瘍をオンコタイプDXという遺伝子検査に送っていたそうです。みきさんは自分で受けたい、と依頼したわけでなく、結果だけを預かったそうです。

あ:『日本だとオンコタイプDXは自費で45万円前後する高額なものです。』
みき『費用は一切払ってないです。オンコタイプDXの結果は抗がん剤が必要か必要でないかをみているそうです。私の再発スコアは16で9年間の再発がおよそ4%。抗がん剤によるメリットは1%も受けないということで、相談の上、ホルモン療法でタモキシフェンのみになりました。』

『自分で負担するのは薬代。それも会社の保険で8割カバーで、いままで日本円になると1万円も払っていない。オンコタイプもやってもらえて抗がん剤をやらない判断ができた。自己負担が減れば、余計な治療をする人が減るのではないかと思う。』

カナダは8人にひとりが乳がんに

カナダという国で乳がんにり患。まずがん協会にアクセスするなどして、本をもらうなど勉強したそうです。病院にはたくさんの冊子、勉強のためにと分厚い資料をもらったといいます。カナダでは日本よりも多い、8人に一人という統計。(日本はつい最近、9人にひとり、に)とにかく医師がポジティブだったことに驚いたそうです。

一方のみきさんはやっぱりショックで放心状態。そんな中でもどんどん看護婦さんは情報だしていく。思わず、『ちょっと受け入れられていない、時間ほしい』と言ってしまったそうです。そこからはソーシャルワーカーさんやヘルスケアチームが登場してどんどんサポートを受けられたとのこと。さらに、パートナーのお姉さんも乳がんで全摘、抗がん剤治療も経験したことがあり、彼が何が起こるかを知っていたことで”はれものに触られるようなことはなく、支えてくれた”と話してくれました。

日本社会生きづらくありませんか?

みきさんからは逆に質問を受けました。”ドキュメンタリーで同僚の前で発表して入院してたけど、周りの対応はどうだったのか?”と。

あ:『正直、声はかけずらいんだろうなと。頑張ってとも言いずらいし、いってらっしゃい、が一番よかったかな。』

みき:『日本の友達、家族もなんですが、つらいだろうけど・・・と言われたのです。でもつらいと思ったことない。なんでこんなになったのかな、と思ったことはあるけどどうやって治療に向き合うか、かわいそう、は嫌だなと。』

みきさんも手術後、病理検査・オンコタイプの結果を受けて、2か月半後にはフルタイムで職場に戻りました。その2か月半は、月に2000ドル(カナダドル)を国から支給されていました。

みき:『同僚にも全員は知らないが、上司やチームは知っている。いきなり、会社にいかなくなったのでミキどうしたの?と言われていた。個人的なことで・・・というと誰も何も聞いてこない。1日に会社にいったら、welcome back(おかえり)と言われて、どうしたの?とも言われず、No probrem(問題ない!)と言われて”ノープロブレム、ユーバック”(問題ない!戻ってきたし)って感じで。あとはこきつかわれてます。普通に、笑。上司に右は重いものが持てない、5パウンド以上は持ち上げるなと言われている、などを伝えるのと、休みへの感謝は伝えてそしたら、あとは何か困ったことがあれば言ってくれ、と。それっきりで日常に戻ってます。』

医療費が無料・さらに経済的な援助もあります。そうすると社会への復帰も早いのではないかと思います。

みき:『自分のポジションが失われる危機感は感じない。いつでも戻って来れるように会社側がサポートする。戻ってきてからも何か困ったことあれば好きなようにしていいから、と。日本の患者さんが肩身の狭い思いをされているのかなって私はたまたまカナダで病気に発覚したんですけど少しでも日本の医療制度が変わればいいなと思う。自分の経験をシェアすることでいい方向に変わったらいいなと。』

どうしても女性が働く、管理職含めて壁がある、なかなか大変な日本。ジェンダーギャップをがんというフィルターを通すとより過酷さが増します。生きやすい世の中ってなんだろう・・・3月14日にイベントをすることになりました!

HTBonライン劇場 ピンクリボントーク 患者・家族・社会 ~生きてくのに必要なコト~2021年3月14日(日)午後2時スタート

https://www.htb.co.jp/event/online_theater/

視聴は無料ですが、”温泉”用タオルを販売します。そのお話はまた今度。

みきさんとのお話は・・・

https://youtu.be/l75chPXIISA

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