平和への願い込め手ぬぐい 9月で20年、米中枢同時テロ哀悼 長崎市の元消防士ら 「大空に夢を 地上に平和を」 現地に343枚贈る

「事件を風化させたくない」と語る井村さん(左)ら=長崎市消防局

 米中枢同時テロから9月で20年となるのを機に、殉職した米ニューヨークの消防士らを哀悼し、平和への願いを込めた手ぬぐいが完成した。長崎市の元消防士らが、ニューヨークの現役消防士らに活用してもらおうと製作した。「大空に夢を 地上に平和を」。こんなメッセージを添えた星条旗とともに、テロで殉職した消防士の数にちなんだという343枚を現地の消防局へ贈る。
 発起人は同市の元消防士、井村啓造さん(74)。昨年、元消防士や元消防団員の知人に声を掛け、計4人で検討を始めた。緊急時にマスク代わりになり、応急処置の止血帯にも活用できるなど用途が幅広いことから、手ぬぐいを贈ることに決めた。
 出来上がった手ぬぐい(縦90センチ、横35センチ)は、紺色に染めた生地に、命を守るために働く消防士の力強さをイメージして「風林火山」の文字をデザイン。活動資金に充てるため一般向けにも343枚を作製し、メンバーが営む山崎印章(桜町)で1枚千円で販売している。星条旗には購入者の署名も入っている。
 12日、市消防局前で会見した井村さんは「日本からずっと応援しているとの思いを込めて『日本之友』と入れた」と紹介。毛筆を担当した書道家で、元消防士の坂谷彦山さん(67)は「多くの人に事件を思い起こしてもらい、危険な現場で市民のために頑張る消防士への理解を深めてもらえたら」と語った。

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