NTTデータ経営研究所・ドコモ・理研など、過疎地域における5Gを活用した遠隔診療・リハビリ指導の実証実験を実施

愛知県新城市では、人口減少・過疎化・少子高齢化が進み、山間部等のへき地における通院困難患者の増加や医療資源の負担増加など、深刻な地域課題を抱えている。例えば、独居世帯や老老介護世帯の増加により診療・リハビリ指導において機能低下の発見が遅れ、その結果、ADL(Activities of Daily Living:日常生活動作)が低下することで入院でのリハビリ介入が必要となるケースが増えている。また、地域交通インフラの不足により、診療・リハビリ指導を必要とする住民の通院が困難となっている。理学療法士は全国的に偏在しているが、訪問リハビリテーションの需要は全国的に増加している。これらの問題点を解決するためには、高齢者の健康異常を早期に「検知」できること、物理的距離にかかわらず医療を提供できること、遠隔で健康指導・リハビリ指導を行うため「高解像度な映像・データ」を伝送できることが不可欠であり、高速・大容量かつ高信頼性・低遅延の通信環境が望まれる。株式会社NTTデータ経営研究所、株式会社NTTドコモ、新城市民病院、東海国立大学機構 名古屋大学、新城市、国立研究開発法人理化学研究所、ニプロ株式会社、株式会社ソシオネクストは、総務省「地域課題解決型ローカル5G等の実現に向けた開発実証」の請負事業において、コンソーシアムを設立し過疎地域診療所における5Gを用いた遠隔診療・リハビリ指導の実証実験を2021年1月17日~2021年2月12日まで実施した。同実証実験では、5Gや4Kカメラを使用し、実証地域の診療所や集会所と中核病院の医師をつなぐことにより、超音波画像検査(腹部エコー)などの遠隔診療や遠隔リハビリ指導及び摂食嚥下指導を行った。

システム構成図

実験参加者や医療従事者に対するアンケートの分析や5Gの受信電波分布等の比較検証の結果、5Gと4K映像を使用することによって患者の全身、歩行状態、局所部位の各様子を療法士のリハビリ指導に求められる十分な映像品質で確認することができた。また、リハビリ前後での診療を遠隔で行うことができた。

遠隔リハビリ指導さらに、遠隔の医師と現地の看護師が連携して腹部エコーのプローブ操作が可能となり、中核病院の言語聴覚士と現地の看護師が連携して嚥下指導も行うことができた。5Gを使用することで、腹部エコーや4Kのリハビリ映像を遅延が少なくリアルタイムに伝送することも確認したという。

腹部エコーなお、同実証実験における各者の役割は以下の通り。

  • NTTデータ経営研究所:実証モデルの社会実装・事業化に向けた検討。
  • NTTドコモ:4K映像伝送システムの性能検証、5Gネットワーク(基地局および可搬局)環境の提供及び技術検証。
  • 新城市民病院:実証フィールド(病院)の提供、及び医療従事者のリソース提供。
  • 名古屋大学:スクリーニングシステム等の有効性評価・検証。
  • 新城市:実証フィールド(診療所、集会所)の提供。
  • 理化学研究所:モーションキャプチャを活用した歩行の分析。
  • ニプロ:遠隔診療支援システム「ニプロハートライン」の5G通信環境下での性能検証。
  • ソシオネクスト:モバイル超音波画像診断装置の技術実証。

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