無党派層はどの政党に投票してきたのか?(データアナリスト・渡邉秀成)

無党派層の行動が選挙結果に大きく影響すると言われます。
この支持政党を持たない有権者がどの程度の割合で存在しているかご存知でしょうか?

無党派層と言われる人たちがどの程度存在するのかについて、NHK世論調査をもとにグラフ化したものが下記になります。

グラフを見ると3割から4割ほど無党派層がいることがわかります。各政党はこの無党派層を取り込もうと、さまざまな工夫をこらします。

支持政党を持たない有権者も投票する際には、多くの場合どこかの政党に投票します。

この無党派層が過去の選挙において、投票した政党はどこであるかについて、公益財団法人 明るい選挙推進協会が調査を行っています。

この調査をもとに、衆議院選挙、参議院選挙のそれぞれにおいて、無党派層の投票先をグラフにしたものが下記になります。

 

無党派層と呼ばれる有権者が選挙の際に投票する政党は、多くの場合、自由民主党、民主党系の主要政党に投票することが多いことがわかります。

また、党首等のメディア露出度が高い政党も、支持政党を持たない有権者が投票する傾向にあるようにも見えます。

この無党派層を年齢別に見ると、多くの場合、有権者の年齢層が若いほど、無党派が多いことがわかります。

選挙権を得て間もない有権者の場合、自分の生活と政治の関係について具体的にイメージする経験が少なかったり、政党ごとの過去から現在に至るまでの政策の特徴について触れる機会が、年長有権者より少ないために、若年有権者は支持政党を持たない傾向があるのかもしれません。

そして有権者が投票する際に考慮する内容についてをみると、生活に直接関係する内容について重視することが、公益財団法人 明るい選挙推進協会の調査結果でも明らかになっています。

昨年からの新型コロナウィルスによる影響で、若年有権者層は採用取り消し、就業していた有権者の中には職を失ったかた等がおられます。

厚生労働省も新型コロナウィルスに係る雇用調整というウェブページを掲載しています。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/koyouseisaku1.html

これらの数値を見ても、今年予定されている衆議院選挙では、国民の生活を今後どのように安定させていくのか各国会議員の発言や各政党の動向等を有権者は注意深く見ていると思われます。

現在は、有権者がインターネットを通じて海外政府が新型コロナウィルス感染症に対してどのような対処を行っているのかを、ネット接続環境がある人は知ることができ、海外政府と日本政府の対処のしかたを比較できる環境が整っています。

そのような環境下で予定されている第49回衆議院選挙では、2020年の昨年から現在に至るまでの新型コロナウィルス関連対策で、国会議員、都道府県知事、市区村長、市区村長議会議員が、どのような対応をしてきたのかについてを考えながら投票先を選択する、支持政党をもたない有権者が多くなることが予想されます。

支持政党を持つ有権者でも、今年予定されている第49回衆議院選挙においても、これまでどおり支持政党に投票するかどうかはわかりませんから、従来の選挙以上に無党派層を取り込むことが、今年の衆議院選挙では重要になりそうです。

今回は選挙の鍵を握ると言われる無党派層の投票政党ついて観察してみました。

© 選挙ドットコム株式会社