女性急死「管理不足」 遺族が佐世保中央病院提訴

 佐世保中央病院(長崎県佐世保市)に入院していた女性(当時76)の酸素チューブのコネクタ(連結器)が外れて急死したのは病院側に過失があるとして、女性の遺族が病院を運営する社会医療法人財団に対し、約3260万円の損害賠償を求める訴訟を長崎地裁佐世保支部に起こしたことが1日までに関係者への取材で分かった。
 訴状などによると、女性は2019年2月、肝性胸水を患い入院。経過は良好だった。同年3月4日、女性に呼吸苦がみられたため胸水を抜くことになった。女性は病室を移動。看護師が酸素チューブを配置した約1時間半後、理学療法士が病室へ入ったが女性は声掛けに反応せず、鼻に着ける管と酸素チューブを連結するコネクタが外れているのが確認された。心肺停止状態になっていた女性は2日後に亡くなったとしている。
 遺族側は病院側がコネクタの「接続を確実にしなかった」結果、女性が心肺停止状態に陥ったと訴えている。遺族によると、女性が急変したのは主治医が退院を示唆し、女性も「家に帰りたい」と答えた数時間後だったという。
 遺族は「亡くなるまで診てくれたことは病院に感謝している」とした上で、女性の死後、病院側が取った対応や説明に問題があったと主張。訴状によると、病院側は何らかの要因で女性の体の動きが激しくなりチューブが外れた可能性が否定できないとしているが、遺族は「病院の管理下で起きた出来事なのに非を認めず、言い訳をひたすら聞かされ、(女性が)浮かばれない。最初から誠意を持って対応してもらえたら提訴しなかった。管理不足だったと認めてほしい」としている。
 社会医療法人財団白十字会は取材に「現在、弁護士同士でやり取りを進めている」と応じた。


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