ノルディックスキーの世界選手権第8日は4日、ドイツのオーベルストドルフで行われ、複合男子個人ラージヒルで、渡部暁斗(32=北野建設)が2017年から3大会連続表彰台となる銅メダルを獲得した。前半首位のヨハネス・ランパルター(19=オーストリア)が逃げ切り、初優勝した。
前半のジャンプ(ヒルサイズ=HS137メートル)では踏み切りにミスがあったものの「夢中で修正できるのが試合の緊張感。向かい風をうまく使えた」ことで137・5メートルを飛んで2位につける。
しかしトップのランパルターと22秒差で迎えた後半の距離(10キロ)では差が開く展開に「体のダメージと、精神的な『詰まらない』というダメージが蓄積して、最後は体が動かなかった」。最後は銀メダル争いのスパート勝負に敗れて3位となった。
5位に終わった2月26日の個人ノーマルヒル後に「前回よりは金の確率は高い」とラージヒルへの自信を口にしていた。
それだけに3大会連続の表彰台とはいえ悲願の金メダルには届かなかったことに「内容には満足していない」と悔しがる。
昨季は9季ぶりにW杯個人総合でトップ3から外れ、9位となったことに危機感を募らせた。
だが今季は1月に日本人最多タイとなるW杯通算19勝目を挙げ、個人総合で3位につけている中で今大会も表彰台に立ったことで「やり方次第で30歳を超えても戦う方法はあるという、かすかな希望は見えた銅かな」と話した。
来年には北京五輪が控える。現状に決して満足しない“求道者”だけに、この悔しさを五輪金メダルへの糧としてほしいものだ。