ソフトバンク・上林 工藤監督が「評価がものすごく上がる」と評価した一打とは

好調が続くソフトバンク・上林

ソフトバンクは6日の阪神とのオープン戦(ペイペイ)に1―3で敗戦。オープン戦とは言え、前日の零封負けに続いて元気のなかったソフトバンク打線に、週末の本拠地に詰めかけた鷹党も心なしか表情が冴えなかった。開幕に照準を合わせる主力とは違い、一軍生き残りをかける若手やレギュラー奪取を目指す選手にとっては、一打席一打席が貴重なアピール機会となる。

春季キャンプ中の紅白戦から工藤公康監督(57)が言い続けていることがある。「一打席にかける執念」。この試合、指揮官がとりわけ評価したのは上林誠知外野手(25)だった。今春の実戦全試合で安打を放っていた上林は、前日5日の阪神戦で快音がストップ。この日も第3打席まで無安打だった。9回の最終打席、昨年まで同僚だった加治屋の高めスライダーを捉えて右中間へ鮮やかな二塁打。この一打を指揮官はたたえた。

「あそこで打てないと、意外と集中力が切れてしまう。オープン戦だから『まあ、いいか』と思うのか。『ここで1打席打たないといけない』と思うのかでは、僕らの評価というのはものすごく上がる」。

オープン戦とは言え、アピールする立場。たかが一本、されど一本。シ烈な競争が続く中で価値ある一打を見出した。

最後に工藤監督は「とてもいい試合の入り方と過ごし方と最終的なあの結果というのは良かったと思う」と付け加えた。8回の守備では、自慢の脚力で右翼線にスライスしていくライナー性の当たりに追いつき、試合を引き締める華麗なスライディングキャッチ。一瞬一瞬の執念、1試合を通しての高い集中力にも目を細めていた。

2018年に22本塁打をマークして全試合出場を果たし男も、昨季まで2年連続で打率1割台と低迷。「昨年も春先は好調だった」という声もある。だが、今年は違う。「結果で見返すしか術はないですから」。酸いも甘いも経験した上林は泥臭く、たくましく結果を残し続けていく。

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