タイ北部の洞窟に旧日本軍の財宝が!?語り継がれる埋蔵金伝説

【アツいアジアから旬ネタ直送 亜細亜スポーツ】タイ北部スコータイ県に、旧日本軍の財宝が眠っている!?

「近くの丘に天然の洞窟がたくさんある。『その中に戦時中、日本兵が金塊を運び込んでいた』と祖父から聞いた」と、大衆紙「カオソッド」の記者らを現地に案内したのは地元民クリアンさん(64)だ。

同紙によると、サワンカロークという地区にある小高い丘の中腹には、穴がいくつも開いている。内部は複雑に入り組み、とても深い迷路のよう。立って歩ける場所もあれば、這って進まないと通れない所も多い。そして所々に、人工的に壊したとおぼしき箇所もあるという。

山頂で見つかった数十もの穴は、洞窟内に空気を送り込むための通風口で、「内部での作業中に酸素不足に陥らないようにするための工夫では」と、クリアンさんら周囲の村人は考えている。

第2次世界大戦さなかの1941年、日本軍はマレー半島侵攻の際、タイにも進駐。その時、金塊をはじめとした財宝を各地に隠したのではないかという伝説は、今もタイで語り継がれている。クリアンさんの祖父は、象7頭、牛7頭、さらに7台の荷車を使い、鉄道のサワンカローク駅から大量の金塊を搬出し、洞窟に運び込んだという。地域で語られているその総量は、実に約14トン。

「日本軍は当時、タイからさらにイギリス領ビルマ(現ミャンマー)への侵攻を目指していたが、スコータイはそのルート上にある。現地で物資を調達しながら進軍していたから、その資金に金塊を使っていたのではないか」と、地元の専門家は推測している。

日本軍の財宝に絡む騒動は、アジアでたびたび起きている。

戦争映画の名作「戦場にかける橋」(1957年)の舞台で知られるタイ西部カンチャナブリーでは7年前、埋蔵金を見つけるべく、国立公園内の洞窟を違法に掘削していたタイ人の男4人組が逮捕された。

フィリピンでも3年前、陸軍の山下奉文(ともゆき)大将が終戦時に隠したといわれる“山下財宝”を掘り当てようと、違法な採掘をしていたフィリピン人13人と日本人4人が捕まった。

クリアンさんらサワンカロークの地元民は、未探査のエリアがある洞窟内に、お宝が眠る可能性を信じてやまない。だが「現場は険しい場所も多く、事故や遭難の可能性もある」と地元当局は注意を促している。

☆むろはし・ひろかず 1974年生まれ。週刊文春記者を経てタイ・バンコクに10年居住。現地日本語情報誌でデスクを務め、2014年に東京へ拠点を移したアジア専門ライター。最新著書は「ルポ新大久保 移民最前線都市を歩く」(辰巳出版)。

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