世界初の自動運転レベル3搭載車レジェンドはまさかの100台限定のリース販売! 一体なぜ!?

ホンダが世界初の自動運転レベル3搭載車を2021年3月5日に発売した。今回は通常の販売ではなく100台限定のリース販売。一体なぜフツーのクルマと同じような販売方法を選択しなかったのか? さらには今後一体どんなクルマ、もっといえばN-BOXなどといったみんなが買える価格帯のクルマにはいつ頃搭載されるのか!?

ホンダ 新型レジェンド ホンダセンシングエリート

リース販売はホンダの得意技!? クルマのメンテを徹底的に

2016年に投入したクラリティ フューエルセルもまたリース販売という方法で売られている。もっといえば2012年に発売したフィットEVもまた同じスタイルで販売していた

せっかく「世界初」という称号を手に入れながらも、今回発表された新型レジェンド レベル3搭載車はリース販売という選択をしたのだろうか?

これまでもホンダは水素自動車のクラリティ フューエルセルやクラリティEVといった次世代カーは、ことあるごとにリース販売という方法をとっている。

対してトヨタは世界初の水素自動車であるミライを2013年の発売以来、フツーのクルマと同じように全国のディーラーで販売をしているのだ

対してトヨタは世界初の水素自動車であるミライを2013年の発売以来、フツーのクルマと同じように売り切り販売をしているのだ。これにはホンダの考えがあるようだ。

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海のものとも山のものとも……メンテナンスが大事なのだ

今回リース販売という選択をしたワケを本田技研工業 執行職 日本本部長を務める寺谷 公良氏に聞くと「世界初の自動運転レベル3搭載車のため、お客様にしっかりとシステムの具体的な使用方法やメンテナンスといったアフターサービスを充実させるため」だという。

レベル3に対応すべく、新型レジェンドにはボディ前後に複数のセンサーが取り付けられている。少しの汚れ程度ではシステム異常は生じないが、万一に備えて常にそれ相応の対処が必要なのだという

たしかにリース販売という方法ならば、定期的なメンテナンスも行えるが、そこには世界初という称号ゆえの葛藤もあったようだ。レベル3搭載車には、これまでのクルマ以上にレーダーセンサーやライダーセンサーといったセンサー類が搭載されている。これまでのクルマとは異なる整備が必要となる場合も考えられ、もしもの場合に対処しやすいという側面があるのだ。

ちなみにリース販売は通常の買い方とは異なり、定額料金を支払うというもの。その中には自動車税や車検などの法定点検といった整備費用も含まれる買い方だ。

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加えて、サイバー攻撃の被害を回避するためにも、自動運転データの定期的なアップデートといったアプローチも今まで以上に必要となってくるだろう。そのため既存の売り方よりも、言い方は悪いが納車後にしっかりとホンダが管理できる方法をとったというワケだ。

昨夏に販売となった電気自動車のホンダeは数量限定で即刻完売、その後も販売を受け付けているが、今回の新型レジェンドは100台限定。近い将来の増産も考えていないようだ。

10年後にはN-BOXに搭載か!? 大衆車への搭載はもう少し辛抱

新型レジェンド レベル3搭載車の車両価格は1100万円(税込)であり、通常のレジェンド(約725万円)と比べると300万円以上の差がある。センサー類など、レベル3に対応させるにはそれ相応の装備が必要であり、その分価格が上昇しているのだ。それにしても少々、というか高い。

そこで気になるのが、我々一般庶民が買えるような値段、つまりN-BOXのような大衆車にはどのタイミングでレベル3を搭載されるのか? というポイントだ。聞けば遅くとも10〜15年以内には大衆車にも搭載する予定だという。

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自動運転というモノが実現されつつある今、各国の自動車メーカーがいち早い商品化を夢見て開発を進めている。そんな中ホンダが世界初のレベル3搭載車を市販化したことは非常に大きな起爆剤となりそうだ。だからこそ100台限定というのは少々寂しい気もしてしまう。

それだけに、ホンダが一体今後どのような戦略で自動運転という世界的な戦いを進んでいくのか気になるところ。今後のホンダ、そして大衆車への搭載に期待したい。

【筆者:MOTA編集部 木村 剛大】

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