水面(みなも)に揺れる鎮魂と復興へのともしび 川崎・多摩川で最後の灯籠流し

多摩川の水面に浮かんだ灯籠=7日夜、川崎市多摩区

 東日本大震災の犠牲者への鎮魂と被災地の復興を願う灯籠流しが7日夜、川崎市多摩区の多摩川河川敷で行われた。地元のNPO法人「おさかなポストの会」の呼び掛けで震災の翌年にスタートした催し。毎年多くの市民に親しまれてきたが、震災から10年の節目で幕を下ろした。

 「10年経っても心はひとつ」「あなたが居たことをいつまでも忘れない」

 夜のとばりが降りた稲田公園近くの多摩川。被災地への思いを記した灯籠約100個が川に流され、参加した約20人が犠牲者への思いをはせた。今年はコロナ禍の影響で参加者を最低限に絞ったものの、灯籠流しのほか住職による法要やオカリナの演奏などが行われ、オンラインでも配信した。

 「多摩川灯籠流し」は、公園脇の「おさかなポスト」で外来魚やカメなどを受け入れ、一時保管するなど環境保全活動に取り組んできた元代表の山崎充哲さん(62)が発案。震災後に東北地方から、飼えなくなった生き物が多く届けられたことがきっかけだった。

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