巨人・原監督の助っ人救済〝東京ドーム開放〟提言に賛同の声…NPBはどう動く

助っ人来日問題に一石を投じた巨人・原監督

窮地の助っ人救済策となるか――。巨人・原辰徳監督(62)が来日後に2週間の隔離が義務づけられ、まともに練習すらできない外国人選手の環境改善に向けて新たな提言を行った。共通の悩みを抱える全12球団を対象に隔離先を東京ドームホテルとし、隣接する東京ドームを練習場所に〝開放〟するというもの。現場レベルの他球団からは早くも賛同の声も上がる一方で、プロ野球を統括するNPBの真価が問われている。

難航する助っ人来日問題に、原監督が一石を投じた。8日に遠征先の札幌から福岡へと移動した指揮官は「巨人がどうとか、こうとかどうでもいい。プロ野球全体で待ちに待った選手たち。東京ドームに一堂に会そうと。東京ドームホテルは最高の動線ですから。それをぜひ提案したい」と力説した。

政府の新型コロナ禍への水際対策のため、各球団の新外国人選手を中心に来日のメドが立っていない。原監督が指摘したのは、来日できた後の対処法だ。現状では2週間の隔離が必要で、来日後の缶詰生活は大幅なパフォーマンス低下や調整遅れの要因となる。もちろん、定期的にPCR検査などを実施して安全を確保した上で、来日できた外国人選手を東京ドームホテルに滞在させ、練習場所として地下通路で直結する東京ドームを提供し〝12球団合同トレ〟をやろうというものだ。

かねてアスリートを「マグロと一緒で立ち止まれない」と回遊魚にたとえ、缶詰生活を危惧してきた原監督は、2004年アテネ五輪の男子ハンマー投げ金メダリストでもある室伏広治スポーツ庁長官(46)に〝お願いメッセージ〟も発信した。しかし、事態に進展は見られず、いよいよ具体的なプランを提案した格好で、球団からNPBを通じて政府に働きかけたい考えだ。

原監督が掲げた救済策に、ライバル球団からはさっそく「ウチも助っ人をどうしたらいいか頭を抱えていた。原監督には感謝しかない」と賛同の声が上がっている。一方で、ここぞのかじ取り役を求められているのがNPBだ。

「確かに原監督の発信力には絶大なものがあるけど、現場の一監督に声を上げさせてしまうのはいかがなものなのか。これは巨人に限らず、プロ野球界全体の問題。みんなで取り組んで、乗り越えていかないといけない事案」(球界関係者)

ファン待望のプロ野球開幕は今月26日に迫っている。首都圏の1都3県の緊急事態宣言は21日まで延長され、入国制限がいつ緩和されるかは不透明だ。それでも来日後にいかにスムーズにチームに合流し、1日でも早く本来の力を発揮してもらうのか。そのための〝地ならし〟や方策を練ることはできるはずだ。

「(12球団を)ワンチームとして考えるのが、とても正しいことだと思います」(原監督)。野球に限らず、他のスポーツのモデルケースとなる可能性もあるだけに、今回の〝原提言〟がどのように実を結ぶのか注目される。

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