ソフトバンク・武田翔太投手(27)が伝家の宝刀を武器に、またも輝きを放った。
10日の巨人とのオープン戦(ペイペイ)に先発。2安打2四球を与えたが、5三振を奪って無失点に抑えた。
「基本的に今日は直球とカーブの縛りをかけて投げた。一番難しいカーブを自由に操って、いつでもストライクが取れるように」
明確なテーマを持って、球種を絞り、結果も伴う見事な投球だった。
これで今春実戦の通算成績は14イニングを投げて、自責2の防御率1・29。抜群の安定感を支えているのは、武田の代名詞・カーブだ。
この日も全盛期の輝きを取り戻した切れ味鋭いドロップするようなカーブが、巨人打線を大いに苦しめた。カーブで奪った空振り三振は3つ。ヒザ元よりも下のボールゾーンに落ちていくカーブに打者が思わず手を出し、ゴロに打ち取る場面も随所に光った。
現役時代にカーブの使い手だった工藤監督は、武田の良い時のカーブを以前、次のように例示していた。「打者が高いと思って見送ったボールがストライクになる」。「(投げ始めは)ストレートと思ったら、カーブだったという軌道」
この日、巨人の打者たちが打席で見せた反応はまさに指揮官の例示通りだった。
就任以来「鷹投の柱」として工藤監督が大いに期待をかけてきたのが千賀、東浜、そして武田だった。
確かなポテンシャルを再びマウンドで発揮し始めた右腕に「兆しがありますね」と言う指揮官。開幕ローテにまた一歩前進したが、あくまでそれは通過点に過ぎない。まだまだこんなもんじゃない。