【東日本大震災10年】揺らめく炎に犠牲者への思い重ね 横浜・中区で追悼イベント

黙とう後、祈りのコンサートを聴く参加者ら=10日午後6時ごろ、象の鼻パーク

 東日本大震災の犠牲者を悼む「かながわ追悼の夕べ」が10日、横浜市中区の象の鼻パークで行われた。震災から10年の節目を迎えてもなお、2千人近くが県内で避難生活を続けている実相を共有。約千個のキャンドルの明かりに被災地への思いを重ね、犠牲者の冥福を祈った。

 「10年たっても何も変わっていない。もう終わったかのようになってはいけない」。福島県郡山市から川崎市宮前区に避難している松本徳子さん(60)はあいさつで、被災者の苦難に向き合う大切さを訴えた。

 同県南相馬市から横浜市旭区に避難し福島原発かながわ訴訟の原告団長を務める村田弘さん(78)は、長引く避難生活の苦しみを吐露。「大勢の命がなくなり、残った人の傷も癒えていない。10年は震災の節目ではなく、ずっと続いていく」と語った。

 参加者は「震災を忘れない」「希望を持って」などのメッセージを書き込んだキャンドルを点灯させ、犠牲になった2万2千人に黙とうをささげた。

 催しは県内への避難者や支援者でつくる実行委員会が主催し、7回目。葉山町在住のしの笛奏者村山二朗さんが演奏を披露。チェルノブイリ原発事故後に来日し、原発事故を経験したカテリーナさんが、ウクライナの民族楽器を弾き語りで演奏した。

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