野球しか知らない子どもたち…保護者の不安を拭うポニーの「直接的就職支援」とは?

ポニーは「給付型奨学金制度」を新設

アスリート就職支援に実績「株式会社GATHER」「SSKリレーションズ」と業務提携

野球を愛する子どもたちが思いきり野球に熱中できるようサポートするべく、様々な支援策を打ち立てている日本ポニーベースボール協会(以下、ポニー)。昨年12月に発表された「SUPER PONY ACTION パート2」では、経済的に困難な家庭を支援する「野球用品給付支援策」、国内外でプロへの夢を追う子どもたちを支援する「給付型奨学金制度」を新設した。

納得がいくまで野球を追い求めてほしいと願う一方、就職などの将来を心配し、道半ばに諦めてしまう子どもたちが多い現実もある。そこでポニーでは、サポート策の最終支援として「直接的就職支援」を用意した。

ポニーでは新たに「株式会社GATHER」「SSKリレーションズ」の2社と業務提携。いずれもアスリートに特化した就職支援で実績を上げており、野球に熱中してきた選手たちの「野球頭をもみほぐしながら、自分自身を見つめ直す」サポートを期待できるという。

これまでを振り返ると、小学生から野球に打ち込んできた子どもたちの多くは野球しか知らないという状況が、少なからずあった。那須勇元事務総長は「これは大人が作り出した環境だ」と自戒を込めて話す。自身も「市原ポニー」の会長を務める那須事務総長は保護者の声にも敏感にアンテナを張っており、「野球を続けるのはいいけどプロ野球選手になれなかったらどうするの?」「ちゃんと就職ができなかったら困る」などの懸念を感じていた。

「とことん野球を追求してほしいと思う一方で、これまでは出口がおろそかになっていた部分がありました。そういった部分でご家族の不安を払拭するためにも、就職までしっかり支援する必要があると感じております。22歳、23歳まで可能性を試してみろ、と言える体制を整えたいと思います」

就職活動に向けた講習会ではなく、実際に就職先を紹介

新設された「給付型奨学金制度」では海外や独立リーグへの挑戦を推奨しているが、挑戦した先のフォローアップが必要だと実感。ポニー流育成メソッドの卒業ポイントとして就職支援を行うこととした。

就職活動に向けた講習会を行うのではなく、実際に就職先を紹介するのが、今回の支援策の特徴でもある。「株式会社GATHER」「SSKリレーションズ」はいずれも、就職支援を希望する選手に複数回のカウンセリングを実施する。対話を重ねながら、これから何をやっていきたいのか、今まで何を大切にしてきたのか、など、選手の思いを見極めるサポート。その結果、選手たちが希望する職種などを絞り、実際に企業を紹介する流れとなる。

野球に熱中してきた日々は決して無駄にはならない。今なお、求人市場でスポーツ経験者を求める企業が後を絶たないのには理由がある。重圧のかかる試合の中で必要となる判断力、結果を出すために地道な努力を重ねること、トレーニングで培った体力、失敗から学ぼうとする姿勢、大切な仲間とともに目標を達成する意欲など、社会に出てから生かされるスポーツで身につけた資質は限りない。

野球を愛する子どもたちの気持ちを最後までサポートしたいというポニーの願いは、単なる思いに終わらず、具体的な形をもって実現されている。(Full-Count編集部)

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