ドコモとスカパーJSAT、上空からの通信エリア化に向けた39GHz帯の電波伝搬測定実証実験を実施

株式会社NTTドコモ(以下、ドコモ)とスカパーJSAT株式会社では、上空20kmの成層圏に通信装置を搭載した高高度無人機HAPS(High Altitude Platform Station)を飛ばし、広いエリアでの通信サービス提供をめざす取り組みを進めている。今般、その取り組みの一環として、両社は第5世代移動通信方式の高度化(5G evolution)および第6世代移動通信方式(6G)における上空からの通信エリア化の実現に向けて、小型飛行機を活用して市街地・山林・離島での電波伝搬測定の実証実験を2021年2月15日~2月26日まで実施した。同実証実験は、これまでの移動通信方式では1Gbpsを超えるような高速通信の提供が難しかったへき地、空、海上などへの通信エリアの拡大を目的としている。実験は、市街地(小田原)、山林(丹沢)、離島(伊豆大島)において、小型飛行機を用いて上空約3 km先の受信装置に向けて、5Gでの高速通信に適したミリ波(39GHz帯)、および比較のためミリ波よりも電波が飛びやすい低い周波数(2GHz帯)を利用した電波伝搬を測定した。市街地では建物などの障害物や反射波の影響、山林では地形や樹木の影響、離島では海上からの低い仰角や雲の影響などを測定した。その結果「さまざまな環境による39GHz帯と2GHz帯の電波の飛びやすさ」や「飛行機の旋回が電波の飛びやすさへ与える影響」などが判明した。

実験イメージ

なお、同実験は総務省による電波資源拡大のための研究開発「HAPSを利用した無線通信システムに係る周波数有効利用技術に関する研究開発」における固定通信システムの研究開発の一環として実施したものである。2020年10月に、スカパーJSAT、ドコモ、国立研究開発法人情報通信研究機構およびパナソニック株式会社が同研究開発の実施者として採択され、研究開発活動を開始している。今後、同研究開発は2020年度に全体のシステム設計を行い、2021年度は各要素技術の開発、2022年度に各要素技術の単体試験、2023年度に統合実証試験を行う予定としている。

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