選抜高校野球 巻き起こせ「大崎旋風」 本番直前チームの意気込み

パワーアップした打線の柱となる調(左)、チーム浮沈のカギを握るエース坂本=西海市大島若人の森野球場

 19日に開幕する第93回選抜高校野球大会。長崎県からは西海市の大崎が春夏通じて初の甲子園に挑む。今年は2校出場の宮城、兵庫、奈良県勢を除いた26校がフリー抽選で対戦相手を決定。その結果、九州大会王者の大崎は第3日の1回戦第2試合(21日11時40分)で、同準優勝校の福岡大大濠と再戦することになった。雪辱に燃える相手を返り討ちにして勢いに乗り、旋風を巻き起こせるか。本番直前、チームの横顔や意気込みを紹介する。

 「できれば九州以外のチームと戦いたかった」と漏らす清水監督や選手たちにとっては思わぬ初陣。だが、選抜では史上初となる初戦九州対決への注目度は高い。
 昨秋の九州大会決勝は両チームとも甲子園切符を確実にした後に対戦。互いにエースは登板せずに、大崎が5-1で快勝した。攻守両面で王者と認められる強さを示した一方、福岡大大濠の本来の実力もやや影を潜めたと言ってもいいだろう。
 それはチーム全員が十分理解している。2013年夏に佐世保実を率いて以来の甲子園となる清水監督は「昨秋の試合は参考にならない。全く違うゲーム内容になる可能性がある」と強調。少しの油断も隙も見せず、貪欲に全国初勝利を目指す。
 勝負のカギを握るのは当然、大崎の右腕坂本と福岡大大濠の左腕毛利の両エース。大崎は前回の対戦で完投した1年生の左腕勝本や、昨秋までは野手に専念していた右腕田栗らも控え、それぞれパワーアップしている。
 しかし「春は投手力」と言われた時代は変わりつつあり、ハイレベルな打力も備えていなければ全国では勝てない。実際に多くの選手が「いかに打って、点を取れるか」と初戦の焦点を挙げる。
 昨秋の県、九州大会のチーム打率は全9試合で3割1分3厘。粘り強い攻撃を披露したが、どちらかといえば、坂本を軸としたテンポのいい守備が快進撃を支えた。与四球が少ない投手陣、九州大会で相次いで盗塁を阻止した捕手調、二遊間の村上、村田らをはじめ、同大会無失策の守備は、冬の基本徹底でさらに確実性を増している。
 ただ、それ以上に選手が成長を実感するのは、ポイントとなる打撃面。「どこにも負けない」と自負する冬の練習で一人一人の体つきは明らかに変化した。その成果は、スイングスピードや打球の強さに表れている。
 チーム一のパンチ力を誇る調や昨秋に打率4割超をマークした村上と乙内翔をはじめ、池田、田栗ら左右の好打者が並ぶ。相手投手の球威に力負けせずに、憧れの聖地で快音を響かせたい。
 冬の対外試合禁止期間が解けた6日は県内校との練習試合でスタート。第1試合はスタメン全員安打を記録した。1番に起用された乙内翔は七回までに5打数5安打、主砲の調は左中間へ2本塁打を放ち、第2試合は右翼へも豪快な一発を運んだ。打力は間違いなく上がっている。
 開幕まで6日。日頃から支えてくれる地域の期待や、コロナ禍で全国舞台が消えた3年生らの思いも背負って臨む初の甲子園に向け、清水監督や選手たち全員が、同じ言葉を口にする。
 「一つでも多く勝って喜んでもらいたい」

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