回収不能債権、本年度総額3億円超に 長崎県議会総務委員会

 長崎県議会総務委員会は12日、回収不能となった県の債権総額約2億4265万円の放棄を全会一致で可決した。県は昨年4月、債権を一元管理する「債権管理室」を新設しており、2020年度の債権放棄総額は約3億3951万円(未確定の延滞違約金含む)になる見通し。
 同室によると、放棄する債権は中小企業と農業関連の貸付金、利子、延滞違約金で計4件。債権発生から50年以上経過した分もあった。債務者の法人が解散したり個人が破産したりして、連帯保証人や相続人も時効援用をするなどして回収できないという。
 県は、18年度の包括外部監査で各部署の債権回収の対応に温度差があり「特定の部署で画一的に管理するのが望ましい」と指摘されたことなどを踏まえ、債権管理室を新設した。
 同室は、発生から原則1年以上経過した163件約9億8千万円の債権(未確定の延滞違約金含まず)の徴収事務を各部署から移管され、徴収の可能性を判定。▽Aあり109件▽Bほとんどなし9件▽C債権放棄などすべき45件-に分類した。年数が経過するほど回収が困難になり、連帯保証人や相続人を困惑させて県への信頼を損なうことになりかねないとしている。
 一方、20年度の昨年末時点の徴収額は約504万円。
 同室は「債権は元は税金。徴収すべきものはしっかり徴収し、放棄すべきものは法律上適切に落とす。適正な債権管理に努め、県への信頼を損なわないようにしたい」としている。

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