【経済への影響】記録的な景況悪化 バブル崩壊に次ぐ  新型コロナ 長崎県内初感染から1年

 第1、第2、第3波と勢いを増して感染が広がり続けた新型コロナウイルス。県内では昨年3月14日に壱岐市で初確認されて以降、1年間で1613人(12日現在)の感染者が確認されている。死亡者は37人。日常が一変したコロナ禍の1年を経済の側面から振り返る。

日銀短観

 日銀が四半期ごとに公表する県内企業短期経済観測調査(短観)。毎回約140社に聞き取り、景況感を「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた割合を差し引いた「業況判断指数」(DI)として示している。これを見ると“コロナ・ショック”の大きさが分かる。
 2013年6月から19年12月までは、金融緩和などによる円安株高を背景に、業況判断DIはずっとプラスで推移していた。だが、県内初の感染者が確認された昨年3月はマイナス16に転落。その前回を22ポイントも割り込み、バブル崩壊後の1993年2月に次ぐ下げ幅を記録した。マイナス16という数値自体も、東日本大震災直後の2011年6月以来の低水準。全国(8ポイント低下のマイナス4)と比べ深刻さが際立った。
 昨年6月はさらに15ポイント下落し、マイナス31にまで悪化。リーマン・ショック直後の09年3月(マイナス30)をも下回った。続く昨年9月はマイナス24で1年9カ月ぶりに改善に転じ、同12月はマイナス14まで戻した。
 こうした浮沈の大きな要因となったのが個人消費と観光だ。

長崎県の商業動態統計

 モノの消費を表す商業動態統計によると、政府の緊急事態宣言下にあった昨年4月と、感染第2波の影響が残る同9月に大きく落ち込んだ。寄与度(合計値の変動に内訳の増減がどれほど貢献したか)を見ると、百貨店やスーパー、コンビニが人出減少のあおりで苦戦。一方、巣ごもり消費を取り込んだホームセンターやドラッグストア、家電販売は堅調に推移した。

長崎県内主要ホテル・旅館宿泊者数

 主要ホテル・旅館宿泊者数は同4、5月に前年比9割減まで低迷した。政府の観光支援事業「Go To トラベル」が同7月に始まり、持ち直したが、同事業が12月に停止されると再び下振れした。


© 株式会社長崎新聞社