【ノア】武藤がGHCヘビー級王座初防衛 目指すは“還暦王”「ベルトは俺にとってフォー・ライフ」

武藤(左)は清宮の左腕を伸ばしきった

ノアのGHCヘビー級王者・武藤敬司(58)が未知なる領域を目指す。14日の福岡大会では清宮海斗(24)を退けて初防衛に成功し、王座戦線で戦い続ける手応えをつかんだ。主要シングル王座史上最高齢でベルトを巻くプロレスリングマスターが見据える先は、2022年12月に迎える還暦での王座君臨だ。

32分を超える激闘も終わってみれば武藤の独壇場だった。開始から左腕殺しに徹し、ここ一番でしか出さないカウンターのフランケンシュタイナーで逆転。最後は清宮のガードを撃ち抜いての閃光魔術弾5連打の後、腕ひしぎ逆十字固めで勝負を決めた。試合後にGHCタッグ王者のマサ北宮(32)が武藤を襲撃し次の挑戦者に名乗りを上げたが、アラカン王者は「楽しかったね。片っ端からやってやるよ」と涼しい表情で語った。

前人未到の快進撃はまだまだ続く。2月に潮崎豪(39)から58歳1か月で王座を獲得。新日本プロレスのIWGPヘビー級、全日本プロレスの3冠ヘビー級に続くGHC奪取により、史上3人目のグランドスラムを達成した。32歳でのIWGP初戴冠を皮切りに40代、50代で主要王座を巻いてきたが、目標は60代での王座君臨だ。

「まだまだ負ける気はしないけどね。たとえ王座を失う日が来ても俺は諦めないよ。ベルトってのは俺にとってフォー・ライフ(生涯の目的)だから。あと2年で60歳になるけど(王座を)目指す気持ちは常に持っていないと。さびついた引き出しも出てきたけど、それをどうにかして開くようにしたり、さびを磨いて落とすことを忘れないようにしているから」

60代王者が誕生すれば、今後は絶対に破られない偉業となる。何よりこの日の武藤の動きと試合内容を見る限り、2年後どころか10年後まで王座を守るのでは…と思えるほど圧巻の内容だった。

さらに「仮に俺がベルトを失っても、グレート・ムタが黙っていないんじゃないかな。どうもGHCに興味があるみたいだよ」とニヤリ。アラカン王者の進化は止まりそうにない。

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