若手女性ドライバーのソフィア・フローシュ、アプトから新生DTMに参戦へ

 ドイツ出身の女性ドライバーであるソフィア・フローシュが、2021年からFIA-GT3カーで争われるDTMドイツ・ツーリングカー選手権にABT Sportline(アプト・スポーツラインから参戦することが分かった。

 2020年のDTMの最終戦が開催されたホッケンハイムで、日曜日の決勝レース前にフル電動レーシングカー『DTMエレクトリック』のステアリングを握り、デモランを披露したフローシュ。

 その後もさまざまなドイツメディアからDTMへの関心を問われ続けていた彼女だが、3月19日にドイツの大衆紙ビルド紙のウェブ版が、南ドイツのケンプテンのアプト・モータースポーツのファクトリー前の駐車スペースで、フローシュがアウディR8 LMS GT3へ乗り込む姿のスクープ写真を掲載。これをきっかけにドイツのメディアが一斉に『フローシュがDTMへ参戦か』と報じた。

 それに対し、19日の午後にはフローシュが自身のTwitterで、今季のDTMへアプトから参戦することを公表した。なお、現時点ではアプトからの正式発表は行われておらず、スポット参戦なのか、シリーズを通しての参戦になるのかは公式アナウンスを待ちたいところだ。

 アプト・スポーツラインはすでにマイク・ロッケンフェラーとケルビン・ファン・デル・リンデのドライバーラインアップを発表しているが、ここにフローシュも加入しアウディR8 LMSの3台体制で2021年シーズンを戦うことになる。

2020年シーズンのFIA-F3選手権に参戦したソフィア・フローシュ(カンポス・レーシング) 第6戦バルセロナ

 フローシュは2018年の第65回マカオグランプリで行われたFIA-F3ワールドカップに参戦。その決勝レースで宙を舞う大事故に遭い脊椎を骨折したものの、術後の奇跡的な回復と懸命なリハビリを経て翌年にはフォーミュラ・リージョナル・ヨーロピアン選手権でレース現場への復帰を果たした。

 2020年にはFIA-F3選手権への参戦と並行してタチアナ・カルデロン、ベイスク・フィッセールと女性ドライバー3名でチーム組み、リシャール・ミル・レーシング・チームのオレカ07・ギブソンを駆りELMSヨーロピアン・ル・マン・シリーズに挑戦。ル・マン24時間レースにも初参戦した。フランスの耐久クラシックではLMP2クラス9位、総合13位で完走するなど事故後も精力的に活動している。

 また、2021年はリシャール・ミルから同じドライバーラインアップでWEC世界耐久選手権にエントリーしており、DTMとの掛け持ちで多忙なシーズンとなりそうだ。なお、8月20日~22日にニュルブルクリンクで開催予定のDTMと、WEC第4戦ル・マンがバッティングしているが、後者を優先するのではないかと推測される。

 今季からGT3カテゴリーとなった新生DTMはイースターの祝日の連休明けとなる4月7~8日にホッケンハイムで、5月4~6日にラウジッツリンクで行われる2回の公式テストを経て、6月18~20日にイタリアのモンツァで開幕戦を迎える予定だ。

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