新型コロナウイルスワクチン接種会場への高齢者の送迎に鎌倉市の予算を投じることの是非を巡り、市議会が19日から20日にかけて紛糾した。未明に及ぶ審議の末、往復分のタクシー代を補助する経費を盛り込んだ2020年度一般会計補正予算案を可決したが、一部の議員が修正案を提出するなど、紆余(うよ)曲折があった。
市側は接種会場が駅から遠かったり、高齢者は移動に困難を伴ったりすることを踏まえ、65歳以上の市民に会場への往復に必要なタクシー券を配布し、利用額をタクシー事業者に支給するための経費約2億5千万円を盛り込んだ補正予算案を提出。財源には財政調整基金を充てるとした。
これに一部の市議が猛反発。コロナ禍で市税収入の大幅な落ち込みが見込まれ、事業の見直しが不可欠な中、「財政難と言いながら国庫補助の対象外の事業に億単位を充てるのは矛盾だ」、「接種は希望者が受けるもので、タクシー券の配布は市が根拠なしに接種を推奨していることにならないか」などと疑問を呈した。
常任委員会や本会議でタクシー券配布の予算分を削った修正案を提出したが否決され、最後は賛成多数で原案通り可決された。会期は19日までの予定だったが、延会手続きを経て決着したのは20日未明だった。