【センバツ】初戦突破の東海大相模 選手も応援も「2年分の思い、込める」

2年ぶりにアルプス席で応援する東海大相模高の応援委員会の生徒ら=兵庫県西宮市の甲子園球場

 2年ぶりの春は鮮やかに幕を開けた。20日、甲子園球場で行われた高校野球の選抜大会で、東海大相模は東海大甲府(山梨)との系列校対決を3─1で制した。昨年は出場を決めながらも新型コロナウイルスの影響で中止。延長にもつれ込む激戦を支えたのは、涙をのんだ先輩たちとの絆だった。
 
 「日本一を取るチャンスがある。昨年の3年生の借りを返したい」。開幕前、主将の大塚瑠晏は秘めた決意を口にしていた。

 昨年は春に続き夏の全国選手権も中止となった。選抜大会の代替として行われた交流試合でも大阪桐蔭に苦杯。寮を去りゆく先輩たちはくすぶる思いをエールに込め、大塚らに託していったという。

 「頑張れ、とにかく日本一だぞ」。プロ野球・西武に進んだ昨年の主将・山村崇嘉からはそんなメッセージが送られてきた。短い言葉にも、新旧主将の胸には矜持(きょうじ)が受け継がれている。

 もっとも、切願をつないだのは球児だけではない。

 「やっと帰ってくることができた」。アルプススタンドで笑みを咲かせたのは応援委員会の昨年の団長で、今春から東海大に進む大貫真菜さんだ。

 球場での応援は2019年秋の県大会決勝が最後。「自分たちがやってきたことを発揮することができなくて」。折れそうになったことは一度や二度ではないという。

 だから、聖地へ戻った感慨もひとしおだ。「後輩たちには私たちの分も応援してほしい」と大貫さん。傍らでは現部長の曽我友里絵さんが「3年生の思いも背負って全力で臨む」と決勝までナインとともに戦う覚悟だ。

 2回戦は大会第7日の25日、鳥取城北とぶつかる。「2年分の思いを込めて戦えたが、一戦必勝。一つ一つ勝ち上がっていきたい」とは門馬敬治監督(51)の次男で副主将の功。渇きを満たすには、1勝だけではまだ足りない。

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