失敗から這い上がろうとする人達の声を聞きたい――。作家で僧侶の家田荘子とお笑いコンビ「ＴＫＯ」の木下隆行の異色対談が実現した。家田はユーチューブチャンネルを開設し、リカバリーカルチャー（依存症から立ち直る回復者たちが作る文化のこと）の取材活動を行っている。そんな家田がオファーしたのが後輩芸人へのペットボトル投げつけ騒動で松竹を退所した木下。自らを見つめ直すためにお遍路に旅たち、ユーチューバーとして再起をかける木下の心境に家田が迫った。
――木下さんにオファーしたきっかけは
家田 私は、もがきながらも頑張って、前を向こうとしている女性たちを取材してきました。ユーチューブでも、そうやって頑張ろうとされてる方たちの話を聞きたいと思いました。
木下 騒動の後にお遍路させてもらって１年経ったんです。弘法大師様にお礼参りができてなかったので高野山の奥の院に行った次の日に、このオファーを頂いたんです。導かれたと思って、この場所にいます。
家田 現在の活動、収入はどうなんですか。
木下 ユーチューブもそこまで軌道に乗っていないです。スタッフさんに編集してもらったりするのでほぼマイナス。始めたタイミングも悪いせいかバッド日本一（低評価４２万）という情けない不名誉な称号をいただいた。どっかで僕の反省が伝わっていない。伝える方法ってありますか。
家田 時間じゃないですか。叩いてる人も実は面白いから見てるんだしファンなんですよ。
木下 気になってくれてるということですか。
家田 だから見てくれてるんです。そういう方たちを大切にされたほうがいいかと思います。
木下 ４２万人のファンがいるということですね。感謝ですね。そういう思いでいきます。
家田 今、支えてくださってる女性は。
木下 います。一番ＴＫＯ木下の価値のない時に傍にいてくれた。どん底のぼくを見てくれたうえで一緒にいてくれてるんで大事にせななと思ってます。
家田 その方と結婚されるんですか。
木下 そうですね。タイミングがあれば。
家田 一般の人ですか？ 何歳？
木下 一般の人です。これ以上は東スポさんがいるんでやめときます（笑い）。
――宮迫博之さんとのコラボをきっかけにグッド（いいね）も増えてきた
木下 宮迫さんのファンの方が見に来てくれるようになってからグッドも多くなった。コメント欄も暖かい言葉ばっかりで本当に感謝してます。コメント欄は全部読んでます。宮迫さん自体が暖かいので宮迫さんのファンも暖かくなるんですかね。
――対談した木下さんの印象は
家田 本当は誠実なんだけど不器用な所があって損をされてる。
木下 確かに２択ある間違ったほうを行ってた。全部アカン道の方。そん時は目の前のことしか見えてなくて、それが不器用って表現されてると思う。「ブランディングが下手や」とめっちゃ言われてて。松竹芸能が助けてくれてたし、守ってくれてた。相方（木本武宏）がお兄ちゃんで松竹芸能が家族みたいな存在でした。甘えてた部分に辞めて気付ました。辞めたのは怖かったですね。
――渦中のときの東スポの報道については
木下 怖かったですよ。今でも怖いですから。この前、東スポリツイートしたんちゃうかな。いいですか、言っちゃって。あ、これこれ。「シバターに一蹴されたＴＫＯ木下 キンコン西野とコラボも炎上すらせず」。炎上せえへんようにやってるのに炎上せえへんことイジられたら、じゃあ俺どうしたらええの？ コレに対して『炎上もせえへんのか』ってコメントがどぅわー来たんですよ。それを東スポさんやめて（笑い）。
――今後は友好関係を
木下 ぜひぜひ、味方になってくだい。
【いえだ・しょうこ】７月２２日生まれ。愛知県出身。日本大学芸術学部放送学科卒業。女優、ＯＬなど１０以上の職歴を経て作家に。大ヒット映画「極道の妻たち」の原作者として知られる。１９９１年、「私を抱いてそしてキスして―エイズ患者と過ごした一年の壮絶記録」で大宅壮一ノンフィクション賞受賞。２００７年、高野大学にて伝法灌頂を受け僧侶となり、住職の資格を持つ。ユーチューブ「家田荘子チャンネル」を配信中。
【きのした・たかゆき】１９７２年１月１６日生まれ。大阪府出身。９０年、木本武宏とお笑いコンビ・ＴＫＯを結成。９４年、ＡＢＣお笑い新人グランプリ新人賞受賞。役者としても人気ドラマ「半沢直樹」等に出演。昨年、後輩へのペットボトル投げつけ騒動をきっかけに松竹芸能を退所。ユーチューバーに転身。ユーチューブチャンネル「木下プロダクション」を配信中。
