【追う!マイ・カナガワ】東京五輪・パラリンピック コロナ禍でも予定通り、7月に開催すべき?

 首都圏の緊急事態宣言は21日で解除されたが、新型コロナウイルスの感染が収束したわけではない。そんな状況で、海外からの一般観客受け入れも断念した東京五輪・パラリンピックは、予定通り7月に開催すべきなのか─。神奈川新聞「追う! マイ・カナガワ」取材班が、「マイカナ友だち」を対象に行ったアンケートでは中止を求める声が過半数を占めた。コロナ禍の“平和の祭典”への懸念が高まる一方、五輪に向けて励んできた選手たちをおもんぱかる声も多く寄せられた。

◆コロナ対策を最優先に

 アンケートには413人が回答し、「予定通り開催すべき」が66人、「延期すべき」が74人、「中止すべき」が255人だった。

 中止すべきとした横浜市中区の40代女性会社員は「『五輪を開催できることがコロナに打ち勝つことだ』と菅総理は言っているが、そんな青写真を押しつけられて国民は迷惑」と強調。「世界的に感染が収まらない状況で開催の必要性が見えない」(神奈川県茅ケ崎市の50代男性団体職員)、「五輪にかけるお金を医療、生活困窮者に充てて」(横浜市神奈川区の60代無職女性)など、コロナ対策を最優先に求める声が相次いだ。

◆五輪の意義を問う声も

 一方、「予定通り開催すべき」とした人からは、アスリートの思いに寄り添った理由が挙がった。

 「選手にとっては本当につらい一年だったと思う。自分の力を存分に発揮してほしい」(海老名市の50代パート女性)。「経済的な面や選手の気持ちを考慮し、感染防止対策を徹底すれば可能だと思う」(横浜市南区の20代男子大学生)。

 また、「中止派」からは「世界的パンデミックの中、平和の祭典?」(平塚市の50代主婦)など五輪の意義を問う声も相次ぎ、「開催派」からは「選手だけでなく、スポーツは強いメッセージ性を持つ。無観客で行ってほしい」(平塚市の40代男性医療従事者)といった要望もあった。

 「2020年を24年にすれば良いだけ」(横須賀市の40代女性教員)、「仮想現実(VR)など最新技術を駆使したネオ・オリンピックが開催できたら」(横浜市鶴見区の40代主婦)という意見もあった。

 ※アンケートは、政府の緊急事態宣言の解除方針を受け、無料通信アプリLINE(ライン)で登録したマイカナ友だちを対象に17、18日に実施した。無作為抽出の世論調査とは異なる。

【取材班から】
 五輪成功を弾みに首相は衆院解散したいのでは─といった見方も根強いが、「政治」に偏った判断では、多様性を重視し、スポーツの力で世界をつないできた五輪を願う人々の心は離れるだろう。コロナ対策を最優先に、世界が納得する判断であってほしい。(マイカナ取材班)

© 株式会社神奈川新聞社