【高校野球】大会No.1投手をどう攻める? 県岐阜商率いる名将が授ける市和歌山・小園の“攻略法“は…

大会4日目、第1試合は名将・鍛治舎巧監督率いる県岐阜商と注目の右腕・小園健太擁する市和歌山が対戦

最速152キロ右腕との対戦、鍛治舎巧監督「予想していました」

第93回選抜高校野球の第4日を迎えた23日、大会No.1投手との呼び声が高い小園健太投手を擁する市和歌山が第1試合で登場する。最速152キロのプロ注目右腕は攻略できるのか――。対戦する県岐商の名将・鍛治舎巧監督は、抜かりない準備に自信を見せている。

相手にとって不足なし。昨秋の近畿大会では2試合に先発して18回1失点と抜群の投球を見せた小園。152キロの威力あるストレートに、カットボールやツーシームなど変化球の制球もよく、高校No.1の評もある。「初戦で当たるんじゃないかと予想していましたけどね、当たりましたわ」。決戦を前に、鍛治舎監督は豪快に笑った。

熊本・秀岳館を3季連続でベスト4に導き、2018年から母校に戻ってきたアマチュア野球界の重鎮。昨春の選抜がコロナ禍で中止となり、ナインに向け涙を流した熱血漢の頭脳には、初戦突破の青写真がしっかり描けているように見える。

150キロを超える速球への対応はすでにできている。日ごろから本塁ベースをマウンド方向に2メートル近づけて練習。「通常の距離と比べて、体感は15キロくらい速いですかね」。必ず部員がスピードガンを構え、逐一球速を読み上げる。「133!」。打者にとっては、148キロほどということか。振り遅れることなく、力強い打球を外野に飛ばす。

こちらもプロ注目の主将・高木捕手「見極めが大事に」

マウンドではなく、本塁を近づけるのは様々な“効果”も生むという。「他のベースまでの距離も近づいていますからね。内野ゴロだって少しでも野手が手間取ったらセーフです。盗塁も、かなりいいスタートを切らないとアウトになります」。この2メートルが、ナインに一瞬生まれる隙をなくす。

周囲も注目する対小園。真の勝負どころは、直球以外にあるとも見る。「完成度の高いピッチャーです。状況を見ながら組み立ても変えてくる。そこでいかに変化球を打てるかというのも必要になってきます」。低めの誘いをいかに我慢し、わずかに入ってくる甘い球を捉えられるか。「こっちがどう打つかではなく、『何を狙っているんだろう』を相手に考えさせることですかね」と攻略の一端を語る。

主将で4番を務めるプロ注目の高木翔斗捕手も「見極めが大事になってくると思います。それぞれが打席で意識しながら打ち崩したい」と見据える。“高校No.1”の触れ込みに臆することもない。東海地方の好投手たちと対戦を重ねており、鍛治舎監督も「臆している感じはないですね」と頼もしく思う。

強敵を打ち崩せば、チームが一気に乗るのは間違いない。名将が率いる県岐阜商ナインが、夢の舞台で最高の相手に躍動してみせる。(小西亮 / Ryo Konishi)

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